
人工知能(AI)の拡散が雇用代替にとどまらず、若年層の「キャリアのはしご」そのものを崩しかねないとの警告が出た。韓国は就業者の半数以上がAIへの露出度が高い職業に従事しており、技術転換の衝撃に比較的弱い可能性があるという。
情報通信政策研究院(KISDI)AI経済政策グループ長は、国会予算政策処の機関誌「予算春秋」5月号への寄稿で、AI時代の核心的リスクは単純な雇用減少ではなく、「成長―雇用―賃金」へつながってきた従来の仕組みが損なわれる点にあると指摘した。
従来は技術発展で生産性が高まれば雇用と賃金も増える構造だった。しかしAIが労働を代替する方向に偏れば、雇用が縮小し、賃金上昇の通路も遮られ、成長の果実が資本に集中しかねないという。
韓国では女性、高卒・専門大卒、25~44歳でAI露出度の高い職業の比重が高く、所得下位層ほど代替リスクが高い一方、AIの補完効果は低い職業に集中する傾向がある。
さらに韓国では、ソフトウエアで労働を置き換えやすい構造も問題とされた。2024年の研究では、韓国のソフトウエアと労働の代替弾力性は1.6で、設備と労働の0.6を大きく上回った。
生成AIの拡散後、AI露出度の高い職群で22~25歳の雇用が他職群より13%減ったとの研究もある。同グループ長は、若年層の労働市場参入が減れば国家の人的資本蓄積を弱めかねないとし、雇用保護を超えたキャリア形成支援と社会安全網の転換が必要だと強調した。
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