北朝鮮が最近、「地方が変わる新しい時代が切り開かれている」と強調し、注目を集めている。一部では、金剛山観光地区内の韓国側施設の撤去と関係があるのでは、という観測も出ている。
朝鮮労働党機関紙、労働新聞は13日付「地方が変わる新しい時代の幕開けは開かれた」という記事で「社会主義建設の全面的復興期は地方の昨日・今日がはっきりと対比されることから始まる」と伝えた。
同紙はキム・ジョンウン(金正恩)総書記がこの10年間、「平壌市とともに道所在地をはじめとする地方都市・農村の村を地方の特性に合わせて作ることに対する構想」を繰り広げ、「地方建設発展の新しい歴史を彩った」と主張した。
同紙は北朝鮮が「山間都市の典型、理想的標準」と宣伝する両江道(リャンガンド)三池淵(サムジヨン)市をその代表的な例に挙げた。同紙はまた、2018年6月に完工した江原道(カンウォンド)の養苗場や、2019年12月に完工した咸鏡北道(ハムギョンプクト)の温室農場、2020年1月に運営を始めた平安南道(ピョンアンナムド)の陽徳郡(ヤンドクグン)温泉文化休養地など、キム総書記の指示で完工した大規模な建設事業も取り上げた。
新聞は「市・郡をはじめとする地方は、党政策の末端執行単位であり、国の全般的発展を支える強力な砦だ。地方が発展する新しい局面を開かなければならない」と強調した。
こうした中、最近、北朝鮮の金剛山観光地区では軍兵力が投入され、「海金剛ホテル」など韓国側施設の撤去に着手したことがわかった。
金剛山観光地区施設の撤去は、キム総書記が2019年10月に現地指導で指示した事項だ。当時、キム総書記は金剛山地区内の老朽化した施設を指摘し、「われわれのやり方」で建設するよう求めた。
これを受け、北朝鮮は「金剛山観光地区総開発計画」に基づき、同地区を「現代的」観光地にしようとしたが、2020年に入り、新型コロナウイルス感染の世界的な流行状況が発生し、既存施設の撤去などの作業が延期された。
金剛山観光地区内にある韓国側の老朽化施設の撤去が、「地方で、時代遅れを大胆に打ち砕け」というキム総書記の地方建設構想とも通じる部分があるという指摘がある。
つまり韓国側が、北朝鮮の一方的な施設撤去に異議を申し立てても、北朝鮮は地方建設などに関する自主計画に従って「再開発事業」を推進中というふうな反応を見せる可能性があるということだ。
北朝鮮は、新型コロナ前の段階では地方の観光地区開発に熱を上げていた。それだけに、今回の金剛山内施設の撤去は、今後の外国人観光客誘致など観光事業の再開を念頭に置いた措置と解釈される余地もあるようだ。
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