2024 年 11月 26日 (火)
ホーム経済IT/メタバース 世界を駆けるK-ゲーム (2)

[KWレポート] 世界を駆けるK-ゲーム (2)

オーディン…韓国を越えて世界へ

カカオゲームズ「Odin: Valhalla Rising(オーディン:ヴァルハラライジング)」台湾市場進出(同社提供)©news1

韓国発ゲームが各国で注目を集め、ゲーム各社はグローバル市場の攻略に向けて試行錯誤を繰り返しています。その現場を取材しました。(シリーズ2/5)

昨年、韓国ゲーム業界の「主演俳優」は何と言っても「カカオゲームズ」だった。MMORPGの「Odin: Valhalla Rising(オーディン:ヴァルハラライジング)」でアプリマーケット売上ランキング1位を獲得し、「2021大韓民国ゲーム大賞」で大賞を受賞。売上と作品性という二兎を得た。

オーディンの成果に基づき、昨年、「売上1兆クラブ」への加入に成功したカカオゲームズ。チョ・ゲヒョン代表は今年の事業キーワードに「ビヨンド・コリア(Beyond Korea)」を選んだ。韓国を超えるゲーム会社へと跳躍するという意思表示だ。

カカオゲームズは今年上半期、代表作オーディンを海外市場に発売する。グローバルゲーム業界のトレンドである「遊んで稼ぐ」(P2E=Play to Earn)事業の青写真も具体化している。世界という舞台に向けたカカオゲームズの時計の振り子が速まっている。

◇リネージュを制した「オーディン」、韓国を越えて世界へ

業界筋によると、カカオゲームズは2022年上半期、オーディンをグローバル市場に発売する。オーディンは北欧神話の世界観をベースにしたMMORPGで、2021年6月の発売直後、韓国のアプリマーケットで4年間、売上1位を守ってきた「リネージュ (Lineage) 」を追い落とす「異変」を起こした。オーディンの発売から180日間の累積売上は計5000億ウォンに上る。

海外市場での最初の販売場所は台湾だ。台湾は、韓国ゲーム会社NCソフト「リネージュシリーズ」(リネージュW、リネージュM、リネージュ2M)が、アプリマーケット売上の最上位圏を掌握しており、韓国型MMORPGが大きな人気を集めている。

韓国での成功が世界的に通用するかは分からないが▽韓国で立証されたオーディンの完成度▽台湾のMMORPG人気▽カカオゲームズのグローバルパブリッシング力――を考えれば、オーディンが台湾で成功する可能性は高いという見方が強い。

その後、北米・欧州市場の攻略にも乗り出す。北米・欧州は韓国型MMORPGがまだ大きな力を発揮できていない場所だ。有料アイテムを続けて購入しなければならない韓国型ゲームは、北米や欧州とは文化そのものが違うからだ。ただ、オーディンは、北欧神話を背景に制作されたゲームであるだけに、現地の反応も従来のゲームより前向きになるだろうとみられている。

カカオゲームズのチョ・ゲヒョン代表(同社提供)©news1

◇カカオゲームズ、オーディン「遊んで稼ぐ」で作る

カカオゲームズの「ブロックチェーンゲーム」にも具体的な青写真が描かれている。

ブロックチェーンゲームとは、仮想通貨を利用して利用者間のアイテムやキャラクター取引を支援するもの。ユーザーにとっては、ゲームを通じて収益を生み出すことができる「P2Eゲーム」だ。ただ、韓国はアイテムの現金化を法的に禁じており、すべてのブロックチェーンゲームはグローバル市場でのみ発売できる。

カカオゲームズのチョ・ゲヒョン代表は「年内に10種類のブロックチェーンゲームを発売する」と宣言した。チョ代表は2022年2月9日に開かれた第4四半期の実績発表で「P2Eに分類される『アクシーインフィニティ(Axie Infinity)』や『MIR4』よりも進化したゲームを準備している。MMORPGだけでなく、ソーシャルカジノ、スポーツゲームなど多様なジャンルを発売する」と説明する。

具体的なラインナップは公開されていないが、業界では代表作「オーディン」にP2Eが適用されるだろうと見込んでいる。カカオゲームズは2022年1月、開発者の求人サイトを通じて、「ライオンハートスタジオ(Lionheart Studio)」のブロックチェーン開発者を募集した。ライオンハートスタジオは、カカオゲームズの代表作「オーディン」を制作した場所だ。ただ、チョ代表は「オーディンをP2Eゲームにするつもりか」という質問に「具体的には申し上げにくい」と言葉をにごした。

◇「スタークラフト」DNAまで装着…グローバル勝負に出た

カカオゲームズは2022年1月26日、米国のゲーム開発会社「フロストジャイアントスタジオ(Frost Giant Studios)」に240億ウォン規模の投資をした。東南アジアのゲーム配給会社を買収したことはあるが、グローバル開発会社に投資したのは今回が初めてだ。

フロストジャイアントスタジオは、世界で最も売れているゲームの一つ「スタークラフト (StarCraft) 」の開発者が集まって設立したゲーム開発会社だ。カカオゲームズが、世界的なゲーム制作力を持つ「スタークラフトDNA」まで取り込むようになったのだ。同スタジオの最初のゲームは、年内に公開される予定だという。

カカオゲームズは、連結基準で昨年の営業利益が前年比71.85%増の1143億1700万ウォンを記録した。同期間の売上高は104.33%増の1兆124億8200万ウォン、当期純利益は670.72%増の5203億2300万ウォンを記録した。

(つづく)

RELATED ARTICLES

Most Popular