韓国の保守系野党「国民の力」のユン・ソンヨル(尹錫悦)氏の当選で、5年ぶりに政権交代が実現した。ただ、ユン氏と国民の力は、圧倒的な過半数議席の第1野党が主導する「与小野大」政権として国政を運営しなければならない。与野党協力が必須になる状況で、ユン氏が統合のリーダーシップを発揮して「巨大野党」の協力を引き出すことができるか注目される。
次回の総選挙は2024年4月10日。そのため、今後約2年間、事実上、立法府を掌握している民主党を相手にしなければならない。
民主党は現在172議席、民主党に近い政党や無所属の議員6人を合わせれば180議席に達する。 圧倒的過半数の議席である民主党が阻止する場合、各種法案の処理や主要閣僚の任命が難航せざるを得ない。
このため、新政権発足初期に軟着陸するためには与野党の協力が不可欠だ。
ユン氏の最初の課題は、首相をはじめ内閣の人選になるとみられる。「与小野大」政局で、相手が十分に納得できる人選をしてこそ、人事聴聞会という山を越えることができる。特に首相は、本会議の承認表決を経なければならず、民主党の同意が必須だ。
ムン・ジェイン(文在寅)政権も「与小野大」の中で発足、
首相に国会人脈の豊かなイ・ナギョン(李洛淵)氏を指名したのも、同じ理由からだ。
当選者の国政構想を支える政府組職改編も、政府組織法の改正事案であるため、民主党が反対する場合、実現できない。
国民の力と民主党は、選挙戦で相手候補者の配偶者リスクをはじめとする各種疑惑を暴露して「無鉄砲な対立戦線」を形成するなど、わだかまりが募っている。6月の地方選挙を控えて、政局の主導権競争が熾烈になるという点を考えれば、与野党協力を期待しにくいという懸念も出ている。
また、中道野党「国民の党」のアン・チョルス(安哲秀)氏との一本化過程で合意した通り、「国民の力」と「国民の党」の統合を契機に政界再編を推進し、「与小野大」の政局に変化を図る可能性もある。
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