2026 年 4月 13日 (月)
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韓国経済、米相互関税無効でも薄氷…交渉揺さぶりは逆効果の可能性

記者会見で不満を示すトランプ米大統領(c)Reuters/news1

米連邦最高裁が相互関税を違法と判断したものの、これを機に韓国政府や企業が既存の韓米通商合意や対米戦略投資計画の見直しを前面に出せば、かえって状況を悪化させかねないとの懸念が広がっている。

トランプ大統領は判決直後、10%超の「普遍関税」や品目別関税を打ち出し、政策維持の意思を鮮明にした。自動車、鉄鋼、半導体など主力輸出品の競争力低下や採算悪化、成長率の下押し圧力、為替・金利の変動拡大、サプライチェーンや投資負担の増大など、新たなリスクが浮上している。

専門家らは、関税の形が変わっても対外圧力の基調は続く可能性が高いとみる。政府は外交・立法対応を急ぎ、企業は関税還付やリスク管理に集中すべき局面だとの見方が強い。

西江大学国際大学院のホ・ユン教授は「米裁判所の違法判断を理由に第2次トランプ政権と結んだ通商合意を相手国が揺さぶれば、米政権はより強い報復で見せしめに出る可能性がある」と指摘。トランプ大統領が判決直後の記者会見で「すべての交渉は依然有効だ」と述べた点を挙げ、交渉の枠組み自体は維持される公算が大きいと分析した。

関税還付についても「自動還付はない。訴訟で2~5年かけて受け取れ」との趣旨の発言は、簡単には返還しないとのシグナルだと解釈されている。

代替手段としては、通商法122条、通商拡大法232条、通商法301条、関税法338条、輸入ライセンス手数料などが取り沙汰される。これらにより相互関税廃止による歳入減を補えば、韓国に相当な圧力となり得る。

実際、トランプ大統領は最高裁判断直後、通商法122条を根拠に世界の輸入品へ10%の追加関税を課すと表明し、その後15%へと引き上げる方針を示した。同条は国際収支上の問題に対応するため、最長150日間、最大15%の関税賦課を可能にする。

通商専門家は「韓国の対米輸出構造を踏まえると、相互関税よりも自動車や鉄鋼、アルミニウムなどの品目関税の影響が大きい。232条の拡大は韓国に有利とは言い難い」と指摘する。

相互関税は無効となったが、10%超の普遍関税が基調として残り、品目別関税の可能性も並走するなか、マクロ経済の不確実性は続く。主力品目が対象となれば価格競争力と採算が圧迫され、輸出鈍化は成長率の下押し要因となる。為替や金利の変動と重なれば不確実性は一段と高まる。

企業は供給網再編や投資延期、設備計画の保留など意思決定コストが増え、政策の予見可能性が低いほど経営と投資判断の負担は重くなる。

3500億ドル規模の対米投資履行計画も新たな変数に直面する。相互関税無効化が法理上、投資約束の根拠に一定の影響を及ぼす余地はあるが、当該合意は通商のみならず安保、原子力協定、戦略産業協力を束ねたパッケージであり、構造的な安定性があるとの見方もある。

韓国貿易協会国際貿易通商研究院のチャン・サンシク院長は「違法判断とは別に関税の不確実性は続く。予定された手続きに沿い、関連立法や政策推進は継続する可能性が高い」と述べた。投資の速度や方式で柔軟性を持ち、企業収益と市場環境を踏まえ段階的に執行し、実利を最大化すべきだとの助言も出ている。

政府は米側の後続措置を注視しつつ、対応の強度を調整する構えだ。関税還付も課題で、既納分の還付請求は可能だが、実際の執行まで時間を要する見通しだ。輸入業者が申請するのが基本で、DDP(関税込み持込渡し)条件の輸出や現地法人を通じた納付事例などは個別検討が必要とされる。関係省庁や経済団体と連携し、全国税関の企業支援センターで情報提供と行政支援を進める方針。

一方、米国内政治を踏まえ、トランプ流関税政策の推進力が弱まる可能性を指摘する声もある。韓国開発研究院のソン・ヨングァン上席研究委員は「122条の延長には議会同意が必要で、232条や301条も調査に時間を要する。中間選挙前に目に見える措置が相次ぐとは限らない」と述べた。

ただ「発言の強度や圧力メッセージはむしろ強まる恐れがある。韓国は柔軟に対処し、静かな外交力を示す時期だ」と強調した。

(c)news1

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