
北朝鮮は、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記の父キム・ジョンイル(金正日)総書記の誕生日(2月16日)を前に、過去の核戦争危機のさなかでも未来世代を気遣った最高指導者の行動を強調した。2月下旬に予定される第9回党大会でも、後代の育成と国家の将来発展に重きを置くメッセージが打ち出されるとの見方が出ている。
党機関紙の労働新聞は10日、「将軍様は前線へ、子どもたちはキャンプへ!」と題する記事で、キム・ジョンイル総書記が国家の将来を担う子どもたちに注いだ愛情を紹介し、歌曲「将軍様と子どもたち」誕生の背景を伝えた。
同紙は1993年3月当時について、「米国とその追随勢力が大兵力と最新兵器を総動員した侵略的な合同軍事演習『チーム・スピリット93』、および帝国主義連合勢力の『核査察』騒動により、いつ戦争が起きてもおかしくない緊張状態だった」と描写。その最中にキム・ジョンイル総書記が新設された松涛園国際少年団キャンプを訪れ、子どもたちを気遣った逸話を取り上げた。
当時、国際原子力機関(IAEA)は北朝鮮の核開発疑惑を指摘し特別査察を要求。北朝鮮は未申告施設への査察を拒否し、1993年1月には米韓が合同演習の再開を発表した。同年3月、北朝鮮は核拡散防止条約(NPT)からの脱退を宣言し、いわゆる「第1次核危機」が発生した。
労働新聞は「その日の現地指導は単なる視察ではなく、後代への真の愛が何であるかを示し、その力で必ず勝利することを世界に宣言した歴史的行為だった」と評価。「子どもを大切にすると語る政治家はいても、キム・ジョンイル総書記のように自らの全てを捧げて幸福を守った指導者はかつてなかった」と称揚した。
さらに、キム・ジョンウン総書記が「苦しいほど子どもたちにより多くの誠意を注ぎ、その愛の力で共産主義の未来へ進むことが革命の前進方式だ」と述べたと紹介し、キム・ジョンイル流の統治理念が世代を超えて継承されている点を強調した。
専門家の間では、こうした報道は「未来世代の保護と育成が最高指導者の固有の責務である」と住民に印象づける狙いがあるとの見方が出ている。現在の情勢を「核危機」と位置づけつつ、父の遺産を受け継ぐキム・ジョンウン総書記が最重視するのは国家の未来であると訴える、北朝鮮特有の宣伝手法だとの分析もある。
今後5年間の国政方針を定める第9回党大会でも、後代育成や未来志向の政策を前面に出すメッセージが示される可能性が高いとみられる。
(c)news1