
ソウル市は、老朽化した江南資源回収施設(生活ごみ焼却場)を2033年までに近代化する計画を進めている。総事業費は5000億円以上を見込み、最先端設備の導入や住民向けの利便施設整備、処理能力の拡大を柱とする。2026年から首都圏で生活ごみの直接埋め立てが禁止されたことへの対応策だ。ただ、事業地周辺の住民世論が最大の焦点となっている。麻浦に続き、江南でも反対の声が上がり、計画停滞への懸念が強まっている。
取材によると、ソウル市は現在稼働中の4カ所の広域公共資源回収施設(江南、蘆原、麻浦、陽川)について、段階的な「近代化ロードマップ」を検討中だ。稼働から20~30年を超え、老朽化が進む中、安定した処理能力の確保と環境基準への対応力を高める必要があると判断した。市内で発生する生活ごみは原則、市内で処理する方針を掲げる。
最初の対象は江南資源回収施設で、目標期限は2033年。2025年2月から韓国環境公団が技術診断を進めており、2026年10月までに妥当性調査と基本計画をまとめる予定だ。計画には、近代化後の施設規模、分野別配置、必要予算などを盛り込む。
同施設は2001年末に完成し、稼働から23年以上が経過した。江南を含む城東、広津、銅雀、瑞草、松坡、江東、冠岳の各区の生活ごみを担う中核インフラで、1日最大900トンの処理能力を備える。一方で老朽化により維持管理の負担が増し、稼働効率も低下。現在の稼働率は約70%にとどまる。
近代化の手法として、市は▽既存施設を閉鎖し同一敷地に新施設を建設する「新設」案▽外観を保ちつつ設備を全面更新する「大規模改修」案――など、複数の選択肢を視野に入れる。中長期の都市運営に不可欠との立場だ。新設案を採用した場合、1日当たりの処理能力は900トンから1150トンへ約28%増える見通しで、総事業費は5000億円超と試算されている。
ほかの施設の近代化も並行して進む。1997年建設の蘆原施設(1日800トン)は、江南施設とともに技術診断や基本計画策定を進行中。完成から30年に近づく陽川施設(約400トン)は、「木洞プラント複合開発」構想などの検討を2027年2月まで続け、実施の可否を判断する。
最大の不確定要因は住民世論だ。近代化に伴う「増設」への反発が強まる可能性を、市は警戒する。1月に開かれた江南施設の住民説明会でも、処理量拡大に反対する意見が出た。住民協議体の委員長は「老朽施設の更新自体には反対しないが、焼却量を増やす点が問題だ。裕福な地域のごみをなぜここで処理するのか」と訴える。
麻浦では、既存施設とは別に1日1000トン規模の新施設建設計画が進むが、住民反対や立地決定を巡る訴訟で手続きが遅延している。12日に控える二審判決で再び敗訴すれば、建設はさらに後ずれする見通しだ。財源面の逆風もある。近代化事業は市と国費の共同投入だが、2025年度に市が要請した国費約52億円は、政府と国会の審議を経て全額削減された。
市は、周辺住民への補償や施設の安全性の公開、住民支援施設の拡充で「忌避施設」との懸念を和らげたい考えだ。江南施設の影響圏は2934世帯で、関連法に基づき管理費や暖房費などが毎月支給される。2026年の支援額は約140億円を計画する。市関係者は「老朽施設を安全で環境に優しい形へ改めることが核心だ。住民の利便空間拡大や透明な運営、支援基金を通じて不安の軽減に努める」と話す。
ソウル市では1日当たり約2905トンの生活ごみが発生し、このうち69.4%(2019トン)を市内の資源回収施設で処理する。2026年から首都圏では、指定袋ごとの埋め立てが禁じられている。
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