2024 年 11月 23日 (土)
ホーム特集KW レポート ポストコロナ時代の韓流の行方(5)

[KWレポート] ポストコロナ時代の韓流の行方(5)

ベトナムでネットフリックスのトップ10に韓国ドラマ8作品

NETFLIXで配信され、爆発的人気を博しているイカゲーム(NETFLIX提供)

「ポストコロナ」時代を控え、大きな変化が予想されるコンテンツ産業のなかで、韓流はどのような変化を遂げようとしているのか。その現状を分析してみました。(シリーズ5/計7回)

アジアを中心に人気を集めた韓国ドラマはいまや、世界中の人々の心を魅了している。NAVER WEBTOONの「Sweet Home」は2020年12月18日の公開後、韓国とマレーシア、フィリピン、シンガポール、台湾、カタール、タイ、ベトナムの11カ国で、米動画配信大手ネットフリックス(NETFLIX)のチャート1位になった。韓国ドラマでは初めて、米国トップ10入りし、サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)など、中東諸国の視聴順位でも上位にランクされた。

韓国ゾンビ時代劇「キングダム」シリーズも欠かせない新韓流の代表コンテンツだ。2019年に「キングダム1」、2020年に「キングダム2」が好評を得たのに続き、2021年7月23日に発売された「キングダム:アシンの物語」は、韓国をはじめアジア8カ国で1位を記録した。

スケールが大きい作品だけが愛されるわけではない。各国の順位を見ると、K-ドラマそのものを好んでいるという点を実感できる。今年8月20日基準のベトナムTVショーのトップ10を見ると、「賢い医師生活」「刑務所のルールブック(原題・賢い監房生活)」など八つが韓国ドラマだ。タイとマレーシアでは6本、日本では4本の韓国ドラマがテレビショーのトップ10に入っている。台湾でもランクイン作品は5本に上る。

ある専門家はこう評価する。「韓国の映画やドラマの水準が全般的に上がった。K-コンテンツなしにはネットフリックスは事業ができないほどだ」

メディア未来研究所センター長のノ・チャンヒ氏は次のような認識を示す。

「映像コンテンツの限界は、リスクが大きいということ。ただリスクの分散には大きな内需市場が必要だ。韓国はそれが大きくないため、中国市場への依存度が高かった。だが、その中国市場が閉鎖されたタイミングで、ネットフリックスが入ってきた」

つまり、韓国の制作者とネットフリックスの利害関係が合致したというわけだ。

ノ氏は「現在、アジア市場の韓国コンテンツ好きは明確で、米国でも通用している。アカデミー賞を受賞するような映画をつくることができるほど、レベルが上がったということになる」という見解を示した。

K-コンテンツは現在、ネットフリックスを通して制作・流通するという状況にある。ノ氏は「コンテンツに対する権利をネットフリックスに一方的に譲渡するのは良くない」と考えている。そのうえで、次のような苦言を呈した。

「すべての韓国コンテンツが、必ずしもグローバル市場を対象としているわけではない。なのに、ネットフリックスが入ってきたことで制作費は上がり続けている」

(つづく)

RELATED ARTICLES

Most Popular