
最近のKビューティーは、文字通り追い風に乗っている。売れ行きが伸びるほど、消費者の口からよく聞かれる言葉がある。「正規品ですよね?」。オンラインで化粧品を買う際、成分表や製造工程よりも先に確認されるのは販売先だ。どのプラットフォームに掲載されているのか、レビューはいくつあるのか。今や、その流通環境そのものが正規品の証明になっている。
だが、その信頼は驚くほど簡単に崩れる。正規品そっくりの偽物が、あまりにも自然に混じり込むからだ。包装やラベルは精巧になり、写真も見栄えがいい。「正規品100%」という文言と数行の口コミがあれば、疑念は薄れる。結局、本物に見せているのは商品そのものではなく、どこでどう売られているかという“流通の顔”だ。
ここで責任を、偽物を作った側だけに押し付けるわけにはいかない。流通の扉を握る主体が別に存在するからだ。オンライン、オフラインを問わず、流通業者は販売者を集め、取引を成立させ、商品を市場に流す。正規品のように見せる力も、突き詰めれば流通が生む影響力だ。ところが問題が表面化すると、「単なる仲介にすぎない」と距離を置く光景が繰り返される。
事態が大きくなり、もはや無視できなくなってから、ようやく回収告知や取引停止、再発防止策が示される。その間にも偽物は配送され、誰かの顔に塗られている。皮膚に思わぬ影響が出た可能性も否定できない。流通段階での事後対応は、いつも後手に回る。市場はすでに回り、被害は起きた後だ。
オンライン上の削除が根本解決ではなく後始末にすぎないように、流通における「取引停止」も万能薬ではない。偽物は事前に遮断しなければならない。だが、最も強い統制力を持つはずの流通が消極的である限り、偽物の根絶は期待できない。
流通側は「問題が起きなければいい」「効果が落ちても構わない」と考えるかもしれない。しかし化粧品は、その線引きが極めて曖昧だ。ある人にとっては軽い肌荒れでも、別の人には深刻な皮膚障害につながりかねない。リスクは消費者が引き受け、流通は「知らなかった」「確認義務はない」と言い切る構図が、本当に妥当だろうか。
視野を広げれば、この問題は化粧品に限られない。Kビューティー人気を牽引するK-トキシンも同様だ。世界的に評価される代表的な品目だが、業界では今も偽物が正規品と混在して流通しているという話が絶えない。トキシンは化粧品以上に繊細だ。人体に直接注入される医薬品だからだ。
もし偽物が流通網で排除されないままなら、K-トキシン市場は外部の競争相手ではなく、内部の偽物によって崩れかねない。信頼で成長した市場は、その信頼が一度揺らげば、崩壊が始まる。しかも回復には、はるかに長い時間と労力がかかる。
偽物を防ぐ手立ては決して難しくない。流通段階で販売者や供給元を厳格に審査し、正規品認証を義務化し、疑わしい流通量を常時監視すればいい。違反を繰り返す取引先は永久排除し、偽造が見つかった場合は取引停止にとどまらず、精算停止など実効性のある制裁を科す。捜査協力も「要請があれば」ではなく「即時」に切り替えるべきだ。できないのではなく、やる意志が足りない――そう批判される理由がここにある。
今、問われるべきは「誰が偽物を作ったか」ではなく、「なぜここまで容易に売られる環境を放置したのか」だ。偽物があふれているのに流通が手をこまねいているなら、それは単なる管理不行き届きではなく、黙認に近い。韓国政府も流通も「対応中」という言葉を繰り返すだけでなく、今すぐ結果を示すべきだ。先送りすればするほど、その代償を払うのは、またしても消費者なのである。【news1 キム・ジョンウン記者】
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