
北朝鮮が昨年9月と今年初めに起きた無人機侵入事件を一括して公表し、韓国政府に真相究明を求めた背景に、第9回朝鮮労働党大会を前に、住民の対南敵対感情を高め、「敵対的二国家論」の枠組みを強化する狙いがある――こんな見方を韓国の専門家が提示した。
韓国国防研究院(KIDA)のイ・ホリョン主任研究委員は28日、「2024年および2026年の無人機侵入に対する北朝鮮の反応比較と含意」と題する研究報告書で、今年の公表は当該事案を「主権侵害」と明確化し、対南敵対路線を際立たせる意図だと指摘した。
昨年9月の侵入事案を当時公表しなかった理由については、10月前後に開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を軸に米朝対話の機運があったためで、今年になって公表したのは米朝・南北対話への期待が薄れたからだとの見方が出ている。
一方で、2024年10月の「平壌無人機事件」と比べると、対応の強度や非難主体には違いがあるという。当時は約2週間にわたり、キム・ヨジョン(金与正)党副部長や外務省、国防省が相次いで声明・調査結果を発表し、強硬な批判を展開。10月15日には軍事境界線(MDL)北側の京義線・東海線の南北連結道路・鉄道の一部を爆破し、軍事的緊張を高めた。これに対し、今年1月の公表は朝鮮人民軍総参謀部報道官声明とキム・ヨジョン氏の談話など計3回にとどまった。
責任の範囲設定も異なる。2024年は韓国を「米国が育てた」と表現し米国との連帯責任を強調したが、今年は米国への言及を避け、韓国のみを非難対象とした。
イ・ホリョン氏は、昨年9月と今年の事案をまとめて公表した理由について、APECと第9回党大会との関係を挙げる。昨年9月は、米韓首脳会談、イ・ジェミョン(李在明)大統領の国連総会演説、APEC首脳会議など大型外交日程が続き、米朝対話の機運があったため、緊張を高める公表を見送った可能性があるという。
また、第9回党大会の開催時期が当初の1月から2月へと遅れたとみられることも、公表時期の判断に影響したとの見方だ。党大会で検討され得る「敵対的二国家論」に基づく党規約改定の世論形成に適していると北朝鮮が判断した可能性がある。
イ・ホリョン氏は「党大会を前に、北朝鮮は対南敵対感情を住民に注入しようとしている。自国の領土・領海・領空の南側境界を明確化し、現在進めているのは『境界線管理』ではなく『国境管理』だと、韓国に強く認識させる狙いもある」と分析した。
(c)news1

