
北朝鮮が「生成型人工知能(AI)」を従来の人工知能と区別し、体系的に紹介し始めたことが分かった。教育や産業、生産構造を変える中核的な未来技術として位置付ける動きで、外部技術を認識し、理論化を経て体制の枠組みに組み込む初期段階に入ったとの見方が出ている。
朝鮮労働党機関紙・労働新聞は25日付5面で、生成型AIを「全く新しい資料や画像、音声、動画を生み出せる新世代の人工知能」と定義し、既存のAIとは異なる技術領域として明確に区分した。AIを単なる自動化や情報処理の道具ではなく、創作と生産の主体として捉える認識が、北朝鮮の公式媒体で示されたのは初めてとみられる。
記事は、生成型AIの活用分野として教育、設計、建築、医療・健康管理、製薬、自動車、航空宇宙産業などを具体的に列挙し、「2020年以降は大企業だけでなく中小企業も開発競争に加わっている」と説明した。国際的な技術競争や産業拡散の流れを比較的詳細に反映した内容で、世界の技術環境に対する認識が一定水準に達していることをうかがわせる。
もっとも、北朝鮮が生成型AIを実際に開発・導入し、国家レベルの研究開発体制を構築していることを示す直接的な証拠は確認されていない。ただ、2023~2024年の労働新聞や科学技術展覧会の報道では、「知能化」「情報化」「知識経済時代」「知能型体系」といった表現が目立って増え、データ処理や自動化、アルゴリズム、AI応用システムに関する言及も拡大してきた。
特にキム・ジョンウン(金正恩)体制下で掲げられてきた「科学技術強国」路線のもと、ITや情報技術は軍事・経済と並ぶ体制競争力の核心分野として強調されてきた。こうした流れを踏まえると、生成型AIも外部技術を認識した上で、内部理論へ落とし込み、体制論理と結び付けて再解釈する段階に入ったと分析できる。
専門家の間では、今回の生成型AI報道は実際の技術力誇示というより、技術言説を先取りする意味合いが強いとの見方が多い。国際的な技術潮流を概念的に整理・紹介する段階から体制内の言説化を始め、将来の科学技術政策や教育、産業戦略の説明に段階的に組み込む、これまでと同様の手法だという。
過去に北朝鮮が情報化や自動化、デジタル化の概念を取り入れた経緯と重ね合わせると、生成型AIも短期的な導入より、中長期の体制戦略の中で「未来技術の象徴資産」として再構成される可能性が高い。技術そのもの以上に、技術をどう語り、体制の物語にどう組み込むか――その初動が始まったといえそうだ。
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