
「ロボットは人間の仕事を奪うのか」。今月、米ラスベガスで開かれた世界最大級のIT展示会「CES」を取材しながら、何度も頭をよぎった問いである。
今年のCESでは、踊り、ボクシングをし、トラックの車体の上を軽やかに移動するヒューマノイド(人型ロボット)が、来場者の注目を一身に集めた。工場や倉庫で実際に動くヒューマノイドが現実となったことを、会場は如実に物語っていた。
展示された最新型アトラスが歩き、持ち上げ、運ぶたびに、「人間が置き換えられるのではないか」という不安が付きまとった。しかし開発者たちは一貫して、「ロボットは人間の価値を拡張する技術」だと強調する。
ロボット導入の本質は、単純・危険・反復的な業務を代替し、人間がより付加価値の高い役割に集中できるようにすることにある。これは産業革命から自動化に至るまで、歴史が繰り返してきた構造的変化と同じだ。
現代自動車グループのチャン・ジェフン副会長は、「ロボットは労働を奪う存在ではなく、労働の付加価値を高めるもの」と述べ、「単純作業や危険な業務をロボットに任せることで、全体の生産性が向上する」と語る。
米ジョージア州にある現代自動車の「メタプラント・アメリカ」では、すでに290台の物流ロボットが稼働中だ。搬送や移動、配置など人手に頼りにくい業務をロボットが担い、工程全体の効率が約20%向上したという。
高齢化と製造業離れが進む中、ロボットは“代替”ではなく“補完”の存在として期待されている。
危険な工程を担わせることで、労働者の安全ネットとしての役割も果たす。
ボストン・ダイナミクスのロバート・プレイターCEOは「ロボットは今後10年以内に介護や生活支援分野にも進出する」との見通しを示した。
だが、この変化に社会が追いついているかは別問題だ。産業界はロボットと共に働くモデルをすでに実装し始めているが、制度や法整備は遅れがちで、社会には根強い不安や警戒感も残る。
いま求められるのは、技術に対する漠然とした恐怖ではなく、ロボットとの「共生」を前提とした社会の設計である。
制度、標準、人材育成、産業構造改革——。ロボットとの共存を見据えた備えが急務だ。
ロボットは避けられない時代の流れである。技術が扉の前まで来ているのなら、その扉をどう開くかは、私たち社会全体の選択にかかっている。【news1 パク・ギボム記者】
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