2025 年 12月 26日 (金)
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訪韓外国人は「過去最多」でも…28年据え置きの出国税、むしろ減額で観光財源に逆風 [韓国記者コラム]

2024年8月12日、仁川国際空港から入国する外国人観光客(c)news1

2025年、韓国を訪れる外国人観光客が2000万人に迫り、過去最多を記録する見通しになっている。そんな中、観光分野の財政はむしろ縮小している。根本的な要因の一つとして指摘されているのが、出国時に課される「出国納付金(出国税)」の長年にわたる据え置き、さらには前政権での引き下げ措置だ。

韓国では1997年から一律1万ウォンだった出国税が、2024年に7000ウォンへと3000ウォン引き下げられた。引き下げに加えて、既出国者への払い戻しまで実施されたことで、観光振興を目的とする「観光振興開発基金」の収入源が著しく減少した。

観光振興基金において、出国納付金は全体収入の約39%を占める主要財源だ。これが減ったことで、基金全体の縮小は避けられない情勢となっている。

実際、韓国観光公社に対する2025年度の政府支援予算は3680億ウォンで、前年比9.7%減少。外国人観光客の増加で需要が高まっている観光インフラ整備予算も、なんと80%以上の大幅な削減がなされた。

この影響は地方自治体にも及んでいる。全国17の市・道の観光協会の調査によれば、出国税の引き下げ以降、自治体の観光予算は平均20%減少。地域の祭りや広報、観光インフラ事業が縮小・中断され、地方経済の回復が遅れているとの声が業界から上がっている。

一方で、国際的には逆の流れが進んでいる。日本では現在約1000円の出国税を3000円に引き上げる方針だ。タイも外国人旅行者に対し、1人あたり300バーツの観光税導入を予告している。また、バリ島やパラワン島などでは「環境・文化遺産税」の引き上げが進んでおり、欧州の主要都市でも宿泊税の導入・拡大が相次いでいる。

韓国国内では最近、出国税を2万ウォンに引き上げる法案も発議されたが、「旅行費の負担が増える」との懸念も根強く、実現には至っていない。

ただ、出国税の額を即座に引き上げるかどうかとは別に、「観光財源の維持」という観点から制度的な補完策を講じる必要性が強調されている。物価や旅行需要の変化に応じて弾力的に金額を調整できるよう、施行令の改正によって運用の柔軟性を持たせる方法も検討すべきだろう。

問題は、出国税の引き下げが観光財政全体に及ぼしている影響に対し、政府が十分な分析や代替案を提示できていない点にある。観光収支の赤字拡大、インバウンドとアウトバウンドの不均衡、観光インフラの負担増加といった変化に対する精密な診断が不足している。

外国人観光客の増加が実際にどのような経済効果をもたらしたのか、そして出国税の財政的変化が観光政策の執行にどう影響しているのかを示す具体的な研究がなければ、観光政策の実効性を担保することは難しい。観光強国を目指すのであれば、観光客数の増加と同じくらい、財源確保と制度設計の整合性が求められている。【news1 ユン・スルビン記者】

(c)news1

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