「ウイルス感染に劣らず危険なのが『心理的感染病』です」
韓国・世宗サイバー大相談心理学科のクァク・ユンジョン教授は、新型コロナウイルス感染を3年間経験している韓国人が直面した「危機」をこう診断した。
「韓国で『コロナブルー』がますます、国民に影響を及ぼしています。昨年末、OECD(経済協力開発機構)加盟15カ国を対象に実施した憂うつ感評価で、米国、フランス、スウェーデンを抜いて韓国が圧倒的に1位を占めたほどです」
クァク教授は最近、ソウル市広津(クァンジン)区の世宗サイバー大で記者団にこう懸念を示した。
新型コロナウイルス感染において、韓国は人命被害が欧米先進国より相対的に少ない。疾病管理庁によると、2月27日午前0時現在の100万人当たりの死者数は、韓国は143人。米国は2782人、英国は2353人、フランスは2043人、ドイツは1445人に上る。
そんな韓国で「コロナブルー」がひどいのはなぜだろうか……。クァク教授の分析はこうだ。
「韓国は、狭い国土と、不足する天然資源という限界の中にあります。だから人的資源によって国を発展させてきました。ところが新型コロナのため、この人的資源の輪が切れてしまいました。さらに、人間関係に敏感であるという国民性を考えると、コミュニケーションが途絶えたり、孤立したりすることに対する憂うつ感が、ますます大きくなりました」
こうした「コロナブルー」から、さらに危険に近づいたのが「コロナレッド」だ。
「憂うつ感といえば、ずっと悲しかったり気分が果てしなく沈んだりと考えがちですが、これもまたストレス性の障害です。ストレスがたまると、ささいな理由でも感情が増幅され、他人に攻撃的になってしまいます」
クァク教授は「コロナブルー」が「レッド」に引き上げられるプロセスをこう説明した。
だが、新型コロナ感染が広めた心理的な感染病は「ブルー、レッド」だけではない。さらに致命的な「変異」が存在感を見せている。
「最近。増えているのが『コロナ・ブラック』。人の無力感が慢性化すると、自尊心、自我の概念、自信などに問題が生じるのが普通です。そのうち、人生への意欲がそぎ落とされるのです。ひどくなると“極端な選択”をすることもあります」
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