
韓国のイ・ジェミョン(李在明)大統領が「触法少年」の年齢下限引き下げを国務会議の議題とするよう指示したことを受け、制度改正の行方に注目が集まっている。
触法少年とは、刑事責任年齢未満である満10歳から14歳未満の少年を対象に、刑事罰ではなく保護処分を適用する制度で、1953年の刑法制定と同時に導入された。近年、少年の精神的・身体的な成熟が早まっているとの指摘に加え、少年犯罪が凶悪化していることから、年齢の見直しを求める声が高まっている。
大法院(最高裁)が発行した『2025司法年鑑』によると、2024年に保護処分を受けた触法少年は7294人で、2020年の3465人に比べて2倍以上に増加した。2020年以降、毎年一貫して増加しており、2021年は4142人、2022年は5245人、2023年は7175人と推移している。
犯罪の内容も深刻化している。警察庁によると、2024年1月〜9月に摘発されたディープフェイク性犯罪の加害者318人のうち、約20%にあたる63人が満14歳未満の触法少年であった。また、親に対する傷害や暴行事件も、2014年の1件から2022年には96件と激増している。
法務省は2022年にも「触法少年年齢基準現実化タスクフォース」を設置し、年齢下限を13歳未満に引き下げる少年法・刑法改正案を推進したが、大法院、国家人権委員会、児童人権団体などの反対により、国会で成立には至らず廃案となった。
当時、大法院の法院行政処は「13歳の少年による犯罪の多くは家庭内の虐待や経済的困難による精神疾患が背景にあり、弁別力・抑制力が欠如している」として反対意見を提出していた。さらに、国連児童権利委員会も刑事責任の最低年齢は14歳以上とするよう勧告している。
専門家は制度の見直しには一定の必要性を認めつつも、年齢だけでなく犯罪の種類や背景にも注目すべきだと指摘する。
東国大学警察行政学科のイ・ユンホ教授は「世界的に見ても少年犯罪は成人犯罪に近づき、凶悪化している」とした上で、「殺人や性犯罪など重大犯罪を犯した場合には、年齢に関係なく一定の刑罰を科す制度を検討すべきだ」と述べた。
また、順天郷大学のオ・ユンソン教授は「現行の触法少年の年齢を1歳程度引き下げ、特に凶悪犯罪に関しては12歳まで対象を広げることも検討すべきだ。触法少年をそそのかす成人犯罪者の存在が背景にある。『お前は処罰されない』と子どもに殺人をさせる大人こそが問題だ」と強調した。
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