
韓国の養殖海藻の約76%を占める韓国のり・ワカメ・コンブなどの海藻類が、気候変動の影響で中長期的に生産停止のリスクにさらされているとの分析が発表された。特に水温変化に敏感なこれらの品種は、朝鮮半島周辺の海水温上昇により、将来的に深刻な打撃を受ける可能性がある。
海洋水産経営学を専門とする釜慶大学チームは、国立水産科学院気候変動研究課との共同研究により、2100年には地域や品目ごとに生産が100%中断され、被害額は最大1500億ウォン(約170億円)に達する可能性があると発表した。
研究は▽SSP5-8.5(高炭素シナリオ):現在と同様に化石燃料依存が続き、温室効果ガスが増加▽SSP1-2.6(低炭素シナリオ):各国の削減努力が成果を上げる前提で、排出量が抑制される――といった、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の2つの代表的な気候シナリオを基に進められた。
高炭素シナリオでは、韓国近海の表層水温が今世紀末までに最大4度上昇する予測となっており、海藻類が生育できる「適温」や「限界温度」を超える期間が長期化。一部海域では養殖が事実上不可能になる見通しだ。
海藻の中でもコンブは最も低い適温(14度)と限界温度(18度)を持ち、気候変動への脆弱性が最も高いとされた。中でも主要生産地である全羅南道では2100年に完全な生産中断の可能性が高いとされている。釜山でも長期的にはSSP1-2.6を除くすべてのシナリオで生産停止が避けられないという。
韓国のりはコンブよりも高水温に耐性があるが、単価が高いため、わずかな生産減少でも経済損失が大きくなる。全羅南道の韓国のり養殖では、SSP5-8.5シナリオでの2100年の被害額は約1416億ウォンと推計された。
ワカメも単価は韓国のりより低いが、量が多く、水温の閾値を超えると生育が急減する性質がある。全羅南道では2100年の被害額が388億ウォン、釜山でも63億ウォン超の損失が予想されている。
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