
北朝鮮・朝鮮労働党中央委員会全員会議(総会)が12月中旬に開催される。今回は、2021年の第8回党大会で構成された第8期中央委員会の最後の全員会議にあたり、2026年初めに予定されている第9回党大会に向けた事実上の「前哨戦」となる。
キム・ジョンウン(金正恩)総書記は2019年以降、年末に開かれる全員会議で複数回演説し、対内外へのメッセージを発信してきた。特に今年は第8回党大会で提示された5カ年計画の最終年にあたり、キム総書記自らが議事を主導し、経済・国防分野における成果を総括する可能性が高い。
北朝鮮は例年、12月下旬に全員会議を開き、年末または元日にその結果を公表してきた。だが今年は異例の中旬開催が見込まれており、これは第9回党大会の準備を意識した動きとみられている。
党大会は党規約上、「最高意思決定機関」とされ、全員会議よりも格上の位置づけとなっている。党大会は通常5年に1度開かれる。
今回の全員会議では、5カ年の経済・国防計画の成果に加え、キム総書記が主導する「地方発展20×10政策」や、戦術核兵器・極超音速滑空飛行体・固体燃料ICBM(大陸間弾道ミサイル)など「国防5大課題」の進捗も誇示されると予想される。また、ロシアとの密着関係や、中国との6年ぶりの首脳会談など外交成果も評価される見通しだ。
ただし、韓国や米国に対する対外政策については、現時点で大きな方針転換は期待されていない。キム総書記は2025年9月の最高人民会議で「非核化の幻想は捨てろ」と米国に牽制し、韓国に対しては「共にすることは何もない」と断言していた。
韓国政府関係者も、北朝鮮は「敵対的二国政策」をより強化する可能性が高いと見ている。ただ、2026年4月に予定されるトランプ米大統領の中国訪問が「大きな取引(ビッグディール)」に発展する可能性を見据え、キム総書記が対米戦略に柔軟性を残す布石を打つ可能性も指摘されている。
経済政策へのシフトを占う重要な機会ともなりそうだ。北朝鮮は今後、ロシア・中国との外交的安定を背景に、経済再建に重点を移すとの見方が強まっており、来年の党大会では「生産・建設拡大」を掲げる可能性もある。
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