
韓国保健福祉省が肥満の診断基準とされるBMI(体重を身長の2乗で割った値)を現行の「25㎏/㎡以上」から「27㎏/㎡以上」に引き上げる方針を打ち出したことに、医療界が反発している。韓国の主要な専門学会3団体は、政府がすでに結論を出した状態で形式的な意見を求めたとして、関連協議体への参加をボイコットする姿勢を明らかにした。
ボイコットを表明したのは、大韓内分泌学会、大韓肥満学会、大韓糖尿病学会の3団体。保健福祉省が主催する肥満診断基準に関する諮問会議において、初回から「BMIを25→27に引き上げる案」を前提として意見を求められたことから、2回目以降の会議への参加を拒否している。
ある学会関係者は「答えはすでに決まっており、同意だけを求められている印象を受けた。少数意見として反対しても無力だと判断した」と明かした。
一方、保健福祉省関係者は「国民健康栄養調査ではBMI25以上、健康診断基準ではBMI30以上が肥満とされており、基準の統一を求める声がある。行政機関と専門家が協力して合理的な代案を模索している」と説明した。また「今後も専門家と意見交換し、対立ではなく建設的な議論の一環として受け止めてほしい」と述べた。
現在の韓国の基準では、BMI18.5未満は低体重、18.5~22.9は正常、23~24.9が過体重、25以上が肥満と分類されている。この基準は2000年代初頭、世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務局の提言に基づいて導入された。アジア人は欧米人に比べて体重が少なくても慢性疾患を発症しやすい傾向があるため、より厳格な基準が採用された経緯がある。
しかし、韓国健康保険公団の研究チームは、847万人を21年間追跡調査した結果を基に「BMI基準は少なくとも27以上にすべきだ」と主張。これに基づき保健福祉省が見直しを進めている。
仮に基準が引き上げられれば、たとえば身長175cmの成人男性の場合、現在の基準では80kgで肥満とされるが、新基準では82.7kg以上でないと肥満と診断されないことになる。同様に、身長162cmの女性の場合は、67kgから70.9kgに引き上げられる計算だ。これにより韓国の肥満率は36.7%から19.1%へと大幅に減少する。
だが、肥満による合併症(糖尿病・高血圧など)のリスクを考慮すれば、単純にBMIだけで基準を改定するのは早計との指摘も根強い。専門家からは「韓国人に合った独自の診断基準を確立すべきであり、年齢や生活習慣、既往症なども含めた総合的なアプローチが必要」との声が上がっている。
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