2024 年 11月 27日 (水)
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ネガティブ激化で有権者も一線を越える…政治への嫌悪感

  現場ルポ  

©news1

韓国大統領選挙が目前に迫り、候補・陣営間のネガティブキャンペーンが激化する。また、これに便乗した一部有権者の常識外れの言動に批判の目が注がれている。

新型コロナウイルスの感染力の強い変異型「オミクロン型」の大流行で、対面選挙運動が事実上難しくなった。それゆえ、YouTube、Facebook、Twitter、kakaoトークなどのSNSを通じ、無差別的、嫌悪的な内容の書き込みが大量に流布している。

本人の意思とは関係なく特定候補陣営の任命状が発行されたり、自身が属する組織が特定の候補を支持するという宣言に自信の名前が勝手に載せられるという、あきれた状況があちこちで起こっている。

ただでさえ非好感的な大統領選候補のうち1人を選ばなければならない――今回の選挙戦について、大半の有権者はこんな感情を抱く。さらに、一部の不心得な支持者の、常識外れの行動のために「過去最悪の嫌悪選挙」という不満が持ち上がっているのだ。

◇「誹謗中傷で得られるものはいったい何なのか」

韓国中部の大田(テジョン)地域の政界関係者や市民らによると、旧正月の連休を機に候補間の攻防戦が激しくなり、支持者も自分が支持する候補と関連した書き込みをSNSに活発に掲載するなど、選挙ムードが盛り上がっている。

だが、一部の有権者らが特定候補の弱点を風刺した写真などをFacebookに掲載したり、知人ら大勢を招待したkakaoトークのルームを作って無差別に流したりして、批判を浴びている。

「キリスト教の信仰と奉仕に関する会話を交わしたくてFacebookをしていましたが、最近はまったく見なくなりました。下品な人格攻撃で埋め尽くされているからです。みんな同じ韓国人なのに、なぜここまで激しくお互いを攻撃するのですかね。得られるものはいったい何なのでしょう。歳月が経っても、政治風土は変わりません。情けない」

看板や垂れ幕、印刷関連の事業を手掛けるAさん(51)はこう嘆いた。軽く名刺をやり取りしただけで、親しくもない知人からいきなりkakaoトークの団体トークルームに招待され、戸惑ったという市民もいる。

大田市東区城南洞に住む女性Bさん(46)もがっかりした一人だ。

「最近、娘の小学校時代の同級生の保護者の方から突然、連絡がありました。数年間連絡がなかったのに何だろうと思ったら、なんと特定候補の支持グループトークへの招待でした。ビックリして、すぐに退出しました。いったい、何のためにこんな失礼なことをするのでしょうね。その保護者が支持する候補に反感を抱くようになりました」

◇大統領選終了後直ちにすぐに地方選

大統領選と関連した記事にも、口にできないような暴言、誹謗、不愉快な書き込みが、数え切れないほど掲載されている。

大田・忠清南道地域の「旧正月の食卓での大統領選に対する民心」(旧正月の家族・親戚の集まりで大統領選について話すこと)を扱った「歴代選挙キャスティングボート大田・忠清南道 大統領選の票の行方は依然霧の中」(news1の2月1日報道)と題した記事にも「討論を恐れる〇〇〇」「〇〇〇出身と〇〇詐称〇の対決」など、候補に対する攻撃的な書き込みが横行した。

また、本人も知らないうちに特定候補キャンプの任命状が発せられ、郵便で家に配達されるという事態も続出している。選挙戦が終盤に入り、特定の団体が「ある候補を支持する」と宣言して、団体に所属する人物の名前を無断で支持者リストに掲載するという状況があちこちで起こっている。

実際、大田では公式に選挙活動が始まった今月15日以降、各政党が▽乳幼児の保育者▽地域教授▽労組代表――などの名義で、先を争って支持宣言の集会を開いている。

この状況について、地元の政治に詳しい関係者の解説はこうだ。

「大統領選が終わったら、すぐに地方選がある。地方選の候補予定者らが公認を受けるため、先を争って支持を宣言している。政党公認制の典型的な弊害だ。支持を宣言した該当団体構成員全員が特定候補を支持するという根拠がどこにあるのか。(大統領選挙候補も)非好感度が高いが、これに便乗する候補予定者・事業家・支持者たちの死に物狂いの行動がもっと見苦しい」

地元の政治学者は次のように指摘する。

「原論的な話だが、選挙は自身の長所を国民に説得して、その評価で票を得ることにある。他人を傷つけて、何かを得るということは、国民から神聖な一票を奪う行為に等しい。政界はまず、この原則に忠実でなければならない。そうでなければ、国民の傷跡だけが残るという今の政治風土の改善は図れない」

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