2025 年 12月 4日 (木)
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韓国で揺れる医療改革…非対面診療×薬流通に新たな規制案

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韓国国会が、非対面診療プラットフォームによる医薬品卸売業の兼業を禁じる薬事法改正案の本会議可決を控える中、業界と政治の間で激しい攻防が繰り広げられている。法案を主導する側は「プラットフォームが物流機能まで掌握すれば、特定薬局への依存や不公正な取引が助長される恐れがある」と指摘。これに対し業界は「適法な許可を得ている事業活動が制限される」として反発を強めている。

問題となっている改正案は、与党「共に民主党」のキム・ユン議員が発議したもので、国会保健福祉委員会を通過し、まもなく本会議での採決が見込まれている。法案は、非対面診療の仲介業者と「特別な関係」にある医薬品卸業者が、そのプラットフォームを利用する薬局に対して医薬品を販売することを禁じる内容だ。

ここで言う「特別な関係」には、役員や親族関係にとどまらず、プラットフォームが事実上の支配権を有する場合も含まれる。つまり、プラットフォームと実質的に連携した卸業者が、直接・間接を問わず医薬品を供給する行為を包括的に規制する仕組みだ。

背景には、プラットフォーム企業が設立した卸業者を通じて薬局に優遇措置(表示順位の優先など)を与え、事実上のリベートに繋がっているとの疑念がある。これにより、薬局がプラットフォームに従属する構造が出来上がっていると国会側は懸念している。

大韓薬剤師会も「プラットフォームが卸業を兼ねることで、薬品流通秩序や薬局の経営自立が損なわれる」として、規制は最低限の公正性と安全性を担保する措置だと主張する。

一方、業界側は、非対面診療後に患者が薬局を何軒も回る「薬局たらい回し問題」の解決策として卸業を兼ねていると説明する。代表的なプラットフォーム企業「ドクターナウ」は11月28日、国会に提出した意見書で「患者の利便性向上を目的とした在庫情報提供機能を導入したもので、特定薬局を優遇する意図はない」と述べた。

しかし、キム議員側は「ドクターナウの『在庫確実』表示は、すべての薬局に適用されるものではなく、自社卸を通じて仕入れた特定薬品に限定される」と指摘し、消費者に偏った選択を促す仕組みだと批判している。

ドクターナウは「当社の卸業は合法的な許可を得たものであり、保健福祉省・食品医薬品安全処・公正取引委員会からも違法との判断は受けていない」と反論。また、リベートや特定製薬会社との関係についても「事実無根、あるいはすでに是正済み」とし、「特定医薬品のパッケージ販売」はすでに廃止したと明かした。

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