
2025年の韓国の年間ベストセラーランキングで、作家ハン・ガン(韓江)の小説『少年が来る』が2年連続で総合1位に輝いた。教保文庫が12月1日に発表した集計(2025年1月1日〜11月28日)によるもので、2024年に続くノーベル文学賞受賞の効果が継続している。
『少年が来る』は、光州事件を背景に「記憶」と「癒し」という普遍的テーマを描き、世代を問わず共感を集めた作品。あわせて、ハン・ガンの代表作『菜食主義者』が9位、『別れはしない』が11位にランクインしており、同作家の作品が広く読まれた一年となった。
2位にはヤン・グィジャの長編小説『矛盾』がランクイン。1998年の刊行以来、20代読者(購入比率39.2%)の支持を受けて再評価され、ベストセラー上位に返り咲いた。
総合100位以内にランクインした小説は30作品と過去最多を記録したが、韓国文学全体の販売量は前年の「ハン・ガン効果」の反動で5.8%減少し、逆成長となった。
今年は「コンテンツ過剰」の時代において、「テキストヒップ(text-hip)」と呼ばれる読書トレンドが広がり、20代読者層の影響力が顕著だった。カバーの美しさや限定版にこだわる傾向が強く、読書関連グッズ(ブックカバー、ブックマークなど)の販売も30%増加した。
詩集の販売は20代読者の比率が29.7%に達し、前年比15.5%増加。読書が「受動的な行為」から「能動的な趣味文化」へと変化していることがうかがえる。漫画分野でも20代の需要が拡大し、上位はアニメ連動型の日本作品が占めた。
上半期には、弾劾政局や大統領選挙の影響で政治・社会分野の書籍が好調。特に5月は前年同月比で93.2%の売上増となった。一方、下半期には新政権発足と株式市場の活性化により、経済・経営分野への関心が高まり、8月以降は株式投資関連書籍を中心に急伸。資産形成や金融全般に関する書籍が売上を牽引した。
また、ChatGPTやGeminiなど対話型AIの普及により、「AI活用」に対する関心も急増。AI関連書籍の販売は前年比68.5%増、出版タイトル数も2,040点と倍増した。AIをテーマにした書籍は、従来のコンピューター関連分野を超えて、経済、ビジネス、人文学など多岐にわたって出版されている。
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