
韓国コンビニ業界の3位・4位であるセブン-イレブンとイーマート24が、若年層に人気のファッションやキャラクターグッズを取り入れた“戦略的店舗”の展開を本格化させている。GS25とCUの「2強体制」が定着する中、市場シェア巻き返しの起爆剤となるか注目が集まっている。
イーマート24は11月28日、ソウル・聖水洞(ソンスドン)に旗艦店「トレンドラボ聖水店」を一般公開した。館内には「AMUSE」や「Wコンセプト」などのファッションブランド、アニメIPとのコラボグッズ、さらには朝鮮ホテルのシェフが監修した弁当などを展開し、“トレンド体験型空間”として仕上げられている。
特に、Z世代(10〜20代)や流行に敏感な30代をターゲットとし、彼らが関心を持つコンテンツを実際に体験できるよう設計されているのが特徴だ。
一方、セブン-イレブンは10月に次世代型店舗モデル「ニューウェーブプラス」を導入した「ニューウェーブ明洞店」を開店。K-POPグッズのファンダムゾーン、Kカルチャー記念品ゾーン、カプセルトイ(ガチャ)などを備えた店づくりで、来訪者の足を止めている。
特に「ラーメンの屋台風ブース」などユニークな空間演出で、SNS映えを狙った若年層の集客に成功している。
両社がこうした特化型店舗を打ち出す背景には、飽和状態にある韓国コンビニ市場において、単なる物販からの脱却と体験価値の創出を通じた売り上げ拡大の狙いがある。
2025年3Q(第3四半期)の売上高は、GS25が6兆6866億ウォン、CUが6兆6194億ウォン、セブン-イレブンが3兆6586億ウォン、イーマート24が5521億ウォン。上位2社で市場の約7割を占めており、下位2社は追撃を図っている。
NH投資証券のチュ・ヨンフン氏は「CUやGS25の出店数は年間200〜300店で微増しているが、出店余地が限られた市場構造を踏まえると、既存店の刷新による差別化がカギになる」と分析する。
セブン-イレブンによると、ニューウェーブ明洞店のリニューアル後(10月24日〜11月27日)の売り上げは、前年同期比でファッション15倍、インスタント食品8倍、ラーメン6倍、化粧品5倍、簡便食品4倍と大幅に増加した。
同社は今後、ニューウェーブモデルを地方都市にも拡大していく方針だ。
イーマート24も、トレンドラボ聖水店を“未来ビジョンのテストベッド”かつ“顧客体験の創出プラットフォーム”として位置づけており、来年1年間で600種類のトレンド商品を展開する計画を掲げている。
業界関係者は「今やコンビニは単なる販売の場ではなく、“訪れて楽しむ空間”へと進化する必要がある」と指摘。「新たに登場した革新的な店舗は、そうした転換の象徴的存在になるだろう」と語った。
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