
韓国で増加傾向にある“卒婚”をめぐり、配偶者から一方的に生活費を断たれた事例が議論を呼んでいる。結婚生活40年を経た70代の女性は、夫から突然「卒婚をする」「生活費は出さない」と通告され困窮状態に陥ったという。
夫は家を出た後、連絡を絶ち、「子どもも独立したから、これからは一人で生きたい」と主張。女性が離婚意思の有無を尋ねたところ、「離婚ではなく卒婚だ」とし、生活費の支給を拒否した。
この事案に対し、法律専門家のキム・ミル弁護士は「韓国の法律には“卒婚”という制度は存在せず、あくまで私的な合意に過ぎない」と指摘。民法上、夫婦には相互扶養と同居の義務があり、正当な理由なき別居や生活費の不払いは義務違反に当たる可能性があると述べた。
具体的には、家庭裁判所に「同居請求の審判」を申し立てることが可能だが、同居の強制は人格権の侵害となりうるため、裁判所は関係修復の意思を慎重に判断するという。
また、夫が経済力を持ちながら生活費を一方的に打ち切った場合、それは離婚理由と認定される可能性がある。離婚しなくても、妻は「扶養料」を法的に請求でき、金額は妻の資産状況を考慮して決定される。
“卒婚”という新たな概念が注目される中、家族への責任を放棄する口実として濫用される危険もある。
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