2025 年 11月 23日 (日)
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北朝鮮、平壌に「派兵軍団地」建設…ロシア派兵兵士の遺族向け住宅も整備

左側の建物群が和盛地区4段階工事の一環として建設された住宅とみられる=朝鮮中央テレビ(c)news1

北朝鮮がロシアに派兵した軍人とその戦死者および家族のため、「派兵軍団地」の建設を進めている。これはキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記が指示した新たな居住地「セビョル(新しい星)通り」にあたるもので、2025年11月時点の推定によれば、平壌市東部で進行中の都市開発計画「和盛(ファソン)地区」第4段階エリアの周辺に整備されているとみられる。

キム総書記は2025年10月23日、ロシア派兵軍人の戦死者を追悼する「海外軍事作戦戦闘偉勲記念館」の起工式に出席。この記念館は平壌東部の錦繍山太陽宮殿と大城山革命烈士陵の間にある道路沿いに建設されており、同地区は和盛地区第4段階の1万世帯住宅建設現場にも隣接している。

朝鮮中央テレビが放送した映像では、キム総書記の車列が円形花壇のある交差点を経由して記念館予定地に向かっており、この交差点が上記の重要施設間に位置する地点であると、韓国政府は分析している。

キム総書記は同年8月に戦死者の遺族を平壌に招いて慰労し、大城区域に参戦軍人の遺族向けの新たな通りを造成すると発表。その際、「軍人たちの輝かしい偉勲をたたえ、この通りを『セビョル通り』と名付ける」と語り、通りに隣接する樹木園の名所に戦死者の遺骨を安置し記念碑を建てると公言していた。

2025年2月の和盛地区4段階の住宅建設起工式では、「和盛地区の建設が完了した後、平壌東部の江東(カンドン)方面へ都市を拡張する『新首都建設』事業を推進する」との構想が明かされており、一部専門家はこの中にセビョル通りの整備も含まれていた可能性があると指摘する。

また、同式典で披露された完成予想図に描かれた建物群が、戦闘偉勲記念館周辺の建造物と類似していることから、セビョル通りは和盛地区4段階住宅団地の一部として造成されるか、記念館周辺を新たに都市開発区域として整備する可能性が高いとみられている。

米国の北朝鮮専門メディア「NKニュース」も2025年9月に衛星画像を分析し、同年3月から大城区域の樹木園および錦繍山太陽宮殿の向かい側で約50棟のマンション建設が始まったと報じている。

こうした北朝鮮メディアの報道や韓国政府、専門家の分析を総合すると、セビョル通りはロシア派兵軍人の戦死者を追悼し、遺族らが暮らす住宅団地と記念施設が一体化した区域として整備される見通しだ。北朝鮮が平壌に建設してきた新街区には最先端の住宅や文化施設が集約されてきた経緯があり、セビョル通りも派兵軍人とその家族のための“新都市”とみなせる。

和盛地区の開発事業は2021年1月の朝鮮労働党第8回大会で決定されたもので、2025年までに毎年1万世帯ずつ、計5万世帯の住宅を平壌に建設する計画に基づいている。これまでに松新・松花(2021年)、和盛地区第1段階(2022年)、第2段階(2023年)、第3段階(2024年)の工事が毎年進められており、第4段階の工事は2025年2月に着工し、年末から2026年初頭の完成が見込まれている。

(c)news1

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