
北朝鮮が金剛山観光地区内にあった韓国側の施設を事実上すべて撤去したことが、衛星写真で新たに確認された。最後まで撤去をためらっていたとみられる「離散家族面会所」の解体も進行中で、同地区の「全面的な韓国施設排除」が完了しつつある。
11月16日に更新されたグーグルアースの9月26日付衛星写真によると、北朝鮮・江原道高城郡にある金剛山観光地区内の離散家族面会所は、建物の屋上や外壁、一部付属施設が大きく解体されている様子が確認された。
双子ビル形式の12階建て建物の屋根部分は完全に撤去され、上空から内部が見える状態となっており、かつての桃色の外装もほぼ剥がされている。韓国側が建設・運営していた消防署の建物もすでに2023年4月までに撤去され、現在は更地となっている。
北朝鮮側の行政事務棟だった3階建ての建物も大部分が撤去され、わずかに構造の一部が残っている程度。韓国側の警備施設や事務棟も解体作業が進められていることが確認できる。
金剛山観光鉄道と接続されていた「金剛山青年駅」も、最新の衛星写真では屋根部分が消失し、コンクリートの骨組みのみが残っている。現代峨山が建設し、韓国観光公社が運営していた金剛山温泉も2023年中に撤去済み。
一方で、北朝鮮側が所有する金剛山ホテル、金剛苑、外金剛ホテル、玉流館金剛山支店などの建物は撤去されず、現在も現地に残っている。
北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記は2019年10月、金剛山を視察した際に「みすぼらしい韓国の施設はすべて撤去せよ」と指示した。その後、北朝鮮は新型コロナウイルスのパンデミックを契機に2022年から韓国資本の施設撤去を本格化させた。現代峨山が所有していた海金剛ホテル、金剛山文化会館、温井閣東館・西館、九龍ビレッジなどが順次撤去され、韓国政府所有の離散家族面会所にも着手した。
アナンティグループが所有していた金剛山ゴルフ場とリゾートも事実上全て撤去された。アナンティ側は2022年、「金剛山事業から撤退する」として資産放棄を表明していた。
北朝鮮は現在、金剛山観光地区の再開発を独自に進めており、すでに今年開業した同国最大のリゾート「元山葛麻海岸観光地区」との連携を意図しているとみられる。
(c)news1

