2025 年 11月 15日 (土)
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ソウル・江南で激化する「薬局の縄張り争い」…苦情・暴行・告訴まで

ソウル江南地域の薬局街=写真は記事の内容とは関係ありません(c)MONEYTODAY

ソウル・江南(カンナム)の整形外科密集地域で薬局同士の過熱した競争がトラブルへと発展している。店舗の看板や電光掲示板の規定違反を巡って相次ぐ通報・民願(行政への苦情)、さらには暴行事件や告訴合戦にまで発展しており、まさに「薬局の縄張り争い」が表面化している。

江南区庁によると、2025年に入ってから薬局の看板や案内板の位置、照明の明るさなどに関する苦情は20件以上寄せられている。多くは新沙洞(シンサドン)や狎鴎亭洞(アックジョンドン)など整形外科医院が集中するエリアからのものだ。

区庁の担当者は「美容医療を求めて訪れる患者が多いため、薬局同士の競争も激しく、互いに相手の違反を監視し合うような通報が常態化している」と述べ、近年では脱毛症治療薬をめぐる競争でも同様の事例が増えていると語った。

ある薬局では、わずか2カ月の間に看板や電光掲示板などを理由に4度も民願が入った。そのうち3回は問題なしと判断されたが、最終的に案内板のサイズについて是正勧告が出た。これを受けた店主が隣接薬局にも同様の問題があると主張し、そちらも点検対象になったという。

江南保健所の関係者は「古参の薬局が新規の薬局を牽制するため、集中的に通報を入れるケースが多い」と話している。一部では、知人を使って複数の苦情を装い行政機関に圧力をかける事例もあるという。

さらに一部では、通報の応酬が暴行や告訴事件にまで発展している。狎鴎亭のある大型病院ビル内では、対面で営業する2つの薬局が患者の取り合いから暴力沙汰に発展。ある薬局の店主は暴行容疑で1審で罰金刑を受け、現在は控訴中だ。

一方で被害を訴えた薬局の店主は、対立する薬局を違法な客引きや談合行為で告訴。さらに相手からも業務妨害と名誉毀損で告訴され、応酬が続いている。薬局の店主は「一度は無実の告訴で取り下げたが、違法な客引き行為については再び告訴した」と語っている。

韓国の薬事法では、薬局の外で患者を勧誘する行為は違法とされているが、現場では「勧誘専任のスタッフを雇うのは常識」とされ、法の網をくぐるような形で患者の争奪戦が繰り広げられている。

背景には、供給過多による過密状態がある。江南区の薬局数は2022年に489軒、2023年に499軒、そして2024年には初めて500軒を超え524軒に達した。患者数以上に薬局が乱立しており、過当競争は避けられない状況だ。

(c)MONEYTODAY

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