
韓国大統領室は11月7日、科学技術分野の優秀人材の育成と確保に向けて、大規模な政府支援策を発表した。研究開発(R&D)予算として過去最大規模の35兆3000億ウォンを投入し、教育支援、研究費の拡充、失敗を恐れない挑戦型エコシステムの構築などを柱とする。
中核施策として新たに創設されるのが「国家科学者制度」で、これは年間約20人、5年間で計100人を選抜し、大統領名の認証書と研究支援金、交通便宜など各種の特典を付与するもの。
また、人工知能(AI)と科学技術の融合人材の新規育成を打ち出し、地域AI科学英才学校の新設や、科学英才高校と科学技術特性化大学を連携させるファストトラック制度の導入、科学技術院(KAISTなど)を中心としたAI育成へのAX投資拡大などを進める方針を示した。2030年までに海外の優秀人材2000人の新規誘致も目指し、優秀な外国人留学生が韓国内に定着できるよう支援体制も整備する。
さらに、AI・科学技術分野での安定した雇用創出も図る。大学教員や専門研究職の新設、新進研究者の支援による民間雇用の拡大、企業研究者育成基金の設立なども盛り込まれた。基礎研究への再任研究者の投入、企業・大学間の実務的な連携強化も推進する。
研究者が本来の研究に集中できるよう、煩雑な業務の軽減にも取り組む。研究費管理は研究者主体の自律運用方式に改め、30年ぶりに政府出資研究機関におけるPBS(研究課題中心制度)を廃止する。
また、研究者が失敗を恐れず高付加価値の研究に取り組めるよう、評価制度も見直す。全省庁横断のプロジェクトでは、研究成果の価値を多角的に評価し、優秀な評価委員に対して責任とインセンティブを与えるなどの改革を進める。
研究開発予算を国家総支出の5%水準まで拡大し、AIを活用した投資管理プロセスを導入。予測可能で合理的な投資の実現を目指す。さらに、研究データの収集・管理・共有の体制を整備し、研究者が質の高いデータを自由に活用できるよう支援する。
ハ・ジョンウAI未来企画首席は「技術主導の成長が地域で花開くように、地域主導の研究開発制度を導入し、地方拠点大学の研究力を科学技術院レベルにまで引き上げる」と述べた。
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