2025 年 11月 4日 (火)
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関税協議の妥結で韓国経済に明るい兆し…来年の成長率は「1%後半」への回復期待

2025年10月30日、京畿道平沢港で米国への輸出を待つ韓国製自動車(c)news1

韓米首脳会談での関税協議妥結を受け、韓国経済を長く覆っていた最大の不確実性がひとまず解消された。これにより、2026年の韓国経済は潜在成長率に近い1%後半の成長に回帰できるという楽観論が広がりつつある。

今回の合意により、韓国産自動車に対する米国の関税は現行の25%から、日本や欧州連合(EU)と同水準の15%へ引き下げられる。これは米国が今年4月に25%の高率関税を課して以降、7カ月ぶりの大きな政策転換となった。

韓国銀行は8月時点の経済見通しで、米中通商摩擦の激化を最悪のリスクシナリオとし、この場合2026年の成長率は1.4%まで低下すると警告していた。だが、今回の関税合意に加え、釜山で開かれた米中首脳会談でもフェンタニル関税の引き下げや、希土類の輸出規制の1年猶予などが決まり、悲観シナリオからの脱却が見えてきた。

韓国銀行は、交渉が順調に進んだ場合の「楽観シナリオ」では2026年の成長率を1.7%と見積もっており、今回の進展がその実現性を高めた。

関税緩和の恩恵が最も大きいのは輸出部門だ。特に、これまで高関税の影響で収益性を削っていた自動車メーカーにとっては打撃緩和が期待される。韓国銀行によれば、自動車の対米輸出は関税負担にもかかわらず量は維持されたが、それは価格を大きく下げる「出血的競争」の結果だった。今後は収益構造の健全化が進む可能性がある。

また、最近はAI半導体の需要急増によりIT部門の輸出が堅調だったが、自動車など非IT分野は不振が続いていた。関税緩和でこの分野にも明るさが戻ると見られる。

経済学者らは「関税リスクが低下すれば経済心理が改善し、消費や設備投資の増加につながる」とし、内需回復にも期待を寄せる。韓国開発研究院(KDI)など主要機関は、2026年の潜在成長率を1.8%前後と見ており、現在の政府や韓銀の1.6%成長予測を上回る可能性が高まっている。

ただ、すべてが順風満帆とはいかない。米国の通商政策の今後の変動や、不動産市場の低迷、為替相場の不確実性は成長を左右する変数となる。為替が急激に変動すれば輸入物価が上昇し、金利政策や消費に悪影響を与えかねない。住宅価格の安定が見えなければ、政府が税負担や規制を強化し、家計消費や建設投資にブレーキがかかる可能性もある。

(c)news1

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