2025 年 10月 16日 (木)
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駆虫薬が「若返りの妙薬」に?…韓国研究チーム、老化・筋力低下防止に効果確認

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寄生虫の治療薬として知られるニクロサミド(Niclosamide)が、人間の老衰(frailty)を防ぎ、加齢による筋力低下を改善する可能性があるという研究結果が明らかになった。

韓国食品研究院のチョン・チャンファ博士率いる研究チームは、既存薬の新たな用途を探る「ドラッグ・リポジショニング(drug repositioning)」戦略を通じて、ニクロサミドが老衰を緩和し、身体機能低下を抑制する効果を確認したと8月に発表した。

老化が生理的な自然現象であるのに対し、老衰は身体機能が低下し、疾患への抵抗力が弱まる病的状態を指す。早期発見と管理が重要とされるが、これまで決定的な治療薬は存在しなかった。

ニクロサミドは本来、条虫(サナダムシ)感染の治療薬として開発された駆虫薬で、長年使用されてきたことから安全性が高く、製造コストも安い。近年は抗ウイルス・抗菌・抗がんなど、多様な生理活性が報告されている。

研究チームは、実験用線虫(C. elegans)においてニクロサミドが寿命を延ばし、老化指標を改善することを確認。さらに高齢マウスを用いた実験でも同様の効果が認められ、特に老化によって減少した大腿筋・腓腹筋・上腕三頭筋などの主要骨格筋で、筋肉量が有意に回復した。

また、老化細胞の指標とされるp16、p21、p53遺伝子の発現を低下させ、ミトコンドリアの機能障害を改善してエネルギー代謝を活性化させたという。

さらに、老化により過剰に活性化されるmTORC1シグナル経路を調節し、筋タンパク質分解を促進するユビキチン-プロテアソーム系を抑制。結果として、筋肉の恒常性維持(プロテオスタシス)に寄与することも明らかになった。

研究チームは「ニクロサミドが老化による筋機能低下を防ぎ、代謝機能の向上に寄与する可能性を示した」と説明している。チョン博士は「ニクロサミドの老衰予防効果が実証されたのは今回が初めてだ。今後、老衰を防ぐ新たな治療薬としての応用が期待される」と述べた。

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