2025 年 12月 8日 (月)
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韓国・高齢化で雪だるま式に膨らむ基礎年金予算…来年度は2兆4000億円、制度維持に限界も

ソウル市鍾路区の街を歩く高齢者ら(c)news1

韓国で高齢化が進む中、満65歳以上の高齢者の約70%に支給される基礎年金の予算が毎年“兆単位”で膨らんでいる。政府は財政負担の増大を認識しつつも、既存の支給制度に手を加えることには慎重な姿勢を見せている。

関係省庁によると、政府は2026年度(来年度)の基礎年金予算を今年度本予算(2025年度)より7.1%、すなわち1兆5481億ウォン(約1621億円)増やした23兆3627億ウォン(約2兆4467億円)として国会に提出した。

基礎年金は満65歳以上の高齢者のうち所得下位70%に支給される制度で、来年度の支給対象者は約778万7500人と推計されている。来年度の基準年金額は月34万9360ウォン(約3万6602円)となる。

支給対象が高齢者の70%と定められているため、高齢者人口が増えるほど受給者数と支出額も自動的に増える構造だ。国家データ庁によると、2025年の65歳以上人口は1051万4000人で、全人口の20.3%を占める。今後も高齢者人口は2030年1298万人(25.3%)、2035年1502万8000人(29.9%)、2040年1715万1000人(34.3%)と急増する見通しだ。

政府の中期財政計画によれば、基礎年金予算は2027年25兆0398億ウォン(約2兆6215億円)、2028年27兆0920億ウォン(約2兆8374億円)、2029年28兆2228億ウォン(約2兆9553億円)に達する見込み。税収の担い手となる生産年齢人口が減少する一方、基礎年金をはじめとする高齢者向け支出が急増することから、財政の持続可能性への懸念が強まっている。

政府内でも「高齢者の70%への一律支給」方式を維持するのは限界があるとの問題意識が共有されている。しかし、既存受給者の反発を懸念して、具体的な制度改革の議論は進んでいないのが現状だ。

韓国開発研究院(KDI)は2025年初めの報告書で「基礎年金の支給対象を『高齢者の70%』と一律に定めるのではなく、家計全体の中で相対的に経済的に厳しい高齢者層に限定する方式へ転換すべきだ」と提言した。

(c)MONEYTODAY

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