
韓国国税庁が学資ローン滞納者に対して実施した強制徴収(差し押さえ)件数がこの4年間で約26倍に急増した。一方で、滞納者への納税支援措置はほとんど増えず、若年層に対する「徴収一辺倒」の姿勢が問題視されている。
国会企画財政委員会所属のイ・インソン議員(国民の力)が国税庁から受け取った資料によると、学資ローン滞納に対する国税庁の差し押さえ件数は2020年の467件から2024年には1万2354件へと急増した。
これに対し、差し押さえや売却の猶予など滞納者に対する「税務支援」件数は、2020年の276件から2024年には271件に減少。毎年200件前後にとどまっており、2022年には129件まで落ち込んだ。若者の滞納が増える中で、国税庁が徴収強化に偏っているとの批判が出ている。
背景には、雇用不安や物価上昇による返済能力の低下がある。学資ローンの未返済率は2020年の14.0%から2024年には16.5%に上昇した。返済猶予を申請する若者も急増しており、大学生の猶予申請者は2020年の1071人から2024年には2338人と2倍以上に増加。失業・廃業・育児休職などを理由にした猶予者も6731人から1万1753人へと約75%増加した。
イ・インソン議員は「若年層は社会に出て信用基盤を築くべき時期にあるが、差し押さえなどの強制徴収が繰り返されれば信用リスクが累積し、長期的な返済能力そのものが損なわれかねない」と指摘。「国税庁は徴収一辺倒の姿勢を改め、若者が返済意欲を失わずに滞納の悪循環から抜け出せるよう、実質的な支援策を講じるべきだ」と強調した。
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