
韓国で他人名義を利用して財産を隠し、課税を逃れる「借名財産」が増加していることが明らかになった。国税庁が管理する借名財産の件数は2024年末時点で4100件を超え、金額は6100億ウォン(約638億6700万円)を突破した。
韓国国会企画財政委員会所属のキム・ヨンジン議員(共に民主党)が国税庁から受け取った資料によれば、2024年末の借名財産累積管理件数は4159件で、前年の3911件から6.3%増加した。
借名財産件数は2020年の5155件から2021年3924件、2022年3827件へと減少傾向を示していたが、2023年に3911件、2024年には再び4000件を超えた。金額ベースでも2024年には6134億ウォン(約642億3648万円)となり、前年の5857億ウォン(約613億113万円)から4.7%増加した。2022年に6610億ウォン(約691億0677万円)から2023年には5857億ウォンへ減少したが、再び6000億ウォン台に戻った形だ。
借名財産とは、預金口座や株式、不動産などを本人以外の名義で取得する行為を指す。2024年に特に増加が顕著だったのは株式・出資持分で、管理件数は1072件と前年の700件から53.1%増加した。金額も4215億ウォン(約441億0405万円)から4415億ウォン(約461億9805万円)へ4.7%増加した。
一方、預貯金関連の借名財産は件数が2624件から2532件へ3.5%減少したものの、金額は877億ウォン(約91億8580万円)から985億ウォン(約103億1970万円)へ12.3%増加した。これに対し、不動産の借名財産は555件、734億ウォン(約76億8730万円)で、前年の587件・765億ウォン(約80億0825万円)に比べて件数・金額ともに減少した。
国税庁は2009年から「借名財産管理プログラム」を導入し、各年末時点の残高を把握している。これは摘発件数や課税額を示すものではなく、事後管理の対象となる借名財産の実態をまとめたものである。もっとも、借名財産の多くは課税回避を目的とするため、潜在的な脱税リスクは高い。
キム・ヨンジン議員は「借名財産は租税回避や犯罪収益隠匿の手段として悪用されかねない。国税庁が管理しているにもかかわらず規模が拡大しているのは深刻な問題だ」と指摘した上で、「借名財産を徹底的に追跡し、必ず実名に転換させ、不当な利益については法と原則に基づき厳格に課税すべきだ」と強調した。
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