
韓国の大手IT企業ネイバーが、国内最大の暗号資産取引所「アップビット」を運営するドゥナムと組み、ステーブルコイン市場に本格参入する。イ・ヘジン議長が2025年3月に復帰してから半年で実現する「ビッグディール」だ。
外形上はドゥナムがネイバーの金融子会社ネイバーファイナンシャル傘下に入る形を取るが、ソン・チヒョン会長らドゥナムの既存株主が同社に合流し、関連事業を主導する方式が有力視されている。ブロックチェーン技術に強いドゥナムと、簡便決済ネットワークを持つネイバーファイナンシャルの利害が一致した格好であり、両社が結合すればステーブルコイン市場で優位に立つ可能性が高い。
ネイバーファイナンシャルはドゥナムと包括的株式交換を推進中で、両社の企業価値を考慮すると、ソン会長らが主要株主として参画する見通し。実現すれば国内最大の簡便決済サービスと暗号資産取引所が一体化し、韓国ウォン建てステーブルコインの「最強勢力」が誕生する。
ネイバーペイとアップビットの利用者基盤はそれぞれ月間アクティブユーザー約430万人、434万人に上り、合計で800万人を超える。仮にドゥナムがウォン建てステーブルコインを発行すれば、ネイバーペイの決済網とネイバーの巨大プラットフォームを通じて大規模な需要を創出できる。
イ・ヘジン議長にとって今回の動きは復帰後の大きな勝負手といえる。生活サービス全般をネイバーの生態系に取り込み、デジタル金融市場での地位を固めようとする狙いだ。過去にもイ・ヘジン議長は未来アセットとの株式交換(2017年)、ソフトバンクとの合弁会社設立(2019年)など、大型の戦略提携を手がけてきた。
ただ、ネイバー側は「ドゥナムとの包括的株式交換を含め、さまざまな協力を議論しているが、確定したものはない」と慎重な姿勢を示している。
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