2025 年 12月 4日 (木)
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[KWレポート] 2040年、韓国軍は北朝鮮の4分の1…「兵士がいない未来」への緊急シナリオ (2)

5月15日夜(現地時間)、ウクライナ・ブチャで、ロシアのドローン攻撃に備える女性防空ボランティア団体「ブチャの魔女たち」の一員(c)AP/NEWSIS

◇ドローン戦争時代に浮上する“新たな兵力”

人口の崖による兵役資源の急減問題を、「女性の兵役勤務」で解消しよう――こんな主張が出てきた。近年の戦争ではドローン・ロボット・AI(人工知能)などの活用が増えており、「女性の繊細な機械操作能力や状況判断力が大きな役割を果たせる」という見解だ。

韓国科学技術院(KAIST)国家未来戦略技術政策研究所によると、チョ・サングン教授ら研究チームは最近発表した「安保 XSIGHT 2025」報告書で、こうした内容を含む兵役資源急減問題の解決策を提示した。XSIGHTとは、兵役資源の急減などの「X-event(極端な出来事)」と、それに備える「Insight(洞察)」を意味する。

研究チームは、アメリカなどの軍事先進国や、ウクライナのような戦争遂行国において、先端科学技術の分野で女性兵士が活用されている点に注目した。これまで女性は身体的な制約から戦闘に不向きだという通念があったが、これらの国々では女性がドローン・ロボットの運用、電子戦、情報戦などを担っている。

実際、ロシアによるウクライナ侵攻やイスラエル・ハマス紛争においても、女性兵士の活躍が際立っている。ウクライナ軍では女性の狙撃兵、ドローン操縦士、情報分析の専門家が活躍している。イスラエル軍(IDF)でも、男女混成部隊のカラカル大隊をはじめ、防空任務を担うアイアンドーム部隊、戦闘情報収集部隊などに女性兵士が従事し、国家安全保障に貢献している。

イスラエルのカラカル大隊の女性兵士は、2023年10月のハマスによる奇襲攻撃に対し、約17時間にわたり応戦し、ハマスの戦闘員など約50人を殺害し、進攻を遅らせた。

◇共感力が武器になる時代

現代の戦争環境では、ドローン、ロボット、人工衛星、サイバー技術などが核心的な役割を果たしている。身体的能力よりも認知的能力の方が重要になっている。女性の共感力、分析力、判断力、繊細さなどが強みとして働き、軍組織内での役割が次第に拡大している――研究チームはこう指摘する。

「軍における女性人員の拡大についての議論は、いまだに公平性の問題として扱われている。実質的な戦闘力強化と関連づけた議論は不十分だ。兵役資源の急減問題が深刻化しているなか、これを解決するための代案の一つとして、女性人材の積極的活用が求められる」

研究チームは、サイバー戦、ドローン運用、電子戦・心理戦など、女性の強みが発揮される分野において教育と訓練の機会を拡大すべきだと提言した。また、女性人材のためにカスタマイズされた軍事装備や環境を整備し、軍務の効率性を高める必要があると指摘した。

女性の兵役勤務を前提とした「志願兵」制度の新設――女性徴兵制に対する社会的な共感が形成されていない現状を踏まえ、女性兵士の活用の幅を広げよう――こんな主張だ。現在、女性は幹部としてのみ志願できる。これを、二等兵・一等兵・上等兵・兵長など兵士として志願できる別のトラックを設けようとするものだ。

実際、国防省は兵役資源の急減問題を解決するため、女性軍人の比率を2022年の9%から2027年までに15.3%へと拡大する方針を打ち出している。また、現在27歳の幹部任用年齢上限を29歳に引き上げた。さらに、女性兵士が従事できる任務を新たに設ければ、兵役資源の急減問題をある程度解消できるとみられている。

「韓国の兵役資源は男性に依存しているが、その供給源を多様化させて兵役資源の量的水準を引き上げる必要がある。また、無人戦闘体系や民間のIT技術、民間資源を活用し、予備戦力を現役と連携した戦力として運用できるように、量的・質的水準を向上させるべきだ」

研究チームはこう強調する。

さらに、兵役資源の急減問題を解決するには、国防科学技術人材を活用する兵役制度を、イスラエルの「タルピオット」制度のように革新するべきだと主張する。タルピオットとはヘブライ語で「最高の中の最高」を意味し、優秀な人材が軍服務期間中に科学技術分野で研究できるようにする、イスラエルの科学技術専門将校育成プログラムだ。

韓国でも科学技術情報通信省が「韓国型タルピオット」(科学技術専門士官)制度を運営している。ただ、将校が国防研究開発(R&D)に積極的に参加できる環境が整っておらず、また軍に長期勤務する事例がなく、本来の趣旨が生かされていない。

(c)MONEYTODAY

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