
欧州連合(EU)の包装規制が2026年8月に強化されるのを前に、韓国化粧品業界が迅速に対応に乗り出している。Kビューティーの人気拡大で韓国産化粧品の欧州市場輸出が増えるなか、新たな規制が障害となり得るためだ。一方で、これまで進めてきた環境配慮型パッケージ開発を成長機会に転換すべきだとの声も出ている。
EUは従来「指令」にとどまっていた包装廃棄物指令(PPWD)を、2026年から拘束力を持つ「包装・包装廃棄物規則(PPWR)」へ格上げする。これにより企業は、包装材の成分やリサイクル可能性を当局や流通業者の要請に応じて即座に提出する義務を負う。また、リサイクル材の使用割合や分別回収の容易さなども自ら証明しなければならない。
韓国のOEM・ODMメーカーや大手化粧品企業は、過剰包装制限や再利用義務などの詳細基準が製品設計に直結すると見ている。ただ、すでに各社は環境対応を進めてきたため、短期的には大きな問題はないとの見方が強い。
コスマックスは原料調達から製造工程まで環境負荷を抑える独自基準を導入し、2024年には研究所内に「パッケージサイエンス(PS)ラボ」を新設。再生プラスチック(PCR)やバイオベースプラスチックを積極的に活用している。
韓国コルマーも2020年に世界初の紙製チューブを実用化。従来よりプラスチック使用を80%以上削減できる技術だ。2023年には非木材紙を用いた紙スティックを、さらに翌年にはマスクパック用紙パウチを開発するなど、環境対応パッケージの提供を拡大してきた。
アモーレパシフィックはEUが要求するDoC(証明文書)や技術文書を準備し、包装安全基準を強化。2030年までにPPWRの詳細指針に合わせてプラスチック使用削減、リサイクル率向上、再利用・回収システム構築を目指す。すでに韓国の製紙大手ハンソル製紙やLG化学と提携し、化石燃料由来の原料を代替する素材開発を進めている。
コスマックス関係者は「ロレアルをはじめ欧州顧客と既に協力関係を築いており、十分に対応できる。韓国国内ブランドの欧州輸出にも支障がないよう尽力する」と語った。
(c)MONEYTODAY