
◇自己紹介文はもう通用しない?
韓国で9月から、下半期の新入社員公開採用が本格化するなか、人事チームの悩みも深まっている。
学歴やスペックよりも職務能力を重視するという方針は明確だ。だが、それを正しく評価する手段がなかなかない。
定性的評価の代表である自己紹介書は、ChatGPTの普及以降、差別化の力を失った。短時間の面接だけでは「仕事ができる人材」を見極めるのが難しい。
下手をすれば差別や偏向の議論に発展するおそれもある。そこで、優秀人材のビッグデータをもとに能力を分析するAI能力検査が代替手段として注目を集めている。
MONEYTODAYは、AI能力検査開発で韓国国内シェア1位の「MIDAS IN」の採用イノベーション開発チームを板橋の本社に訪ねた。AI能力検査がどのような方式で人材を選別しているのか、その評価方法はいかなるものか――を確認した。
MIDASグループのHR専門企業であるMIDAS INは、2018年に国内初のAI能力検査を公開して以来、累計1200社、受験者300万人を記録している。
MIDAS INのAI能力検査は▽性向把握▽戦略ゲーム▽映像面接――の3段階で志願者の成果能力を測定する。成果能力は、肯定性・積極性・戦略性・誠実性という4つの核心能力と、36の詳細能力に分類される。意思決定・問題解決などの高次認知を担う前頭前野の機能や、優秀人材に共通して現れる反応特性をビッグデータに基づいて分析・導出している。
◇AIが見るのは「考え方」と「行動パターン」
最初の段階である性向把握は、マイヤーズ・ブリッグス性格診断テスト(MBTI)など既存の適性検査と似て見えるが、性格や知識を測定するものではなく、「成果予測」を目的に設計されている。回答内容だけでなく、反応速度、選択パターン、一貫性まで分析し、複数回の測定によって歪んだ回答を防いでいる。
戦略ゲームでは、ゲームによって脳を刺激し、意識的には制御しにくい即時反応を収集する。時間制限の中でクリック回数、反応速度、正答率などを総合的に分析し、認知以外の領域における能力を評価する。例えば、A志願者が初めはミスが多くても徐々に戦略を改善し、安定した集中力を見せる一方、Bは序盤は素早く反応するが、時間が経つにつれ衝動的かつ一貫性のない判断を繰り返すとすれば、Aの能力がより高く評価される。
YouTubeなどで「攻略法」を学べば、評価の信頼性が落ちるのではないかという懸念もある。これについてチームのパク・ジュヨン氏は「戦略ゲームは単に正解を当てるテストではなく、問題解決の過程で表れる行動パターンを中心に評価するため、攻略法だけでは限界がある。社内での検証結果でも、繰り返し受験しても得点が大きく上がることはなかった」と説明した。

映像面接まで終えると、企業には志願者の総合的な能力結果表が提供される。
これは、該当志願者が実際に成果を出せるかを予測する資料であり、核心は「予測精度」にある。MIDAS INが韓国経営学会および16社の現職社員4041人を対象に分析した結果、AI能力検査と実際の業績との相関係数は0.52だった。
これに対し、面接は-0.04、学歴(出身大学)は0.01、資格は0.03、学力(学士・修士など)は0.07にすぎなかった。米労働省のガイドラインでは、相関係数が0.35以上であれば採用ツールとして有用とされており、従来の選抜方式は実質的に「ゼロ」に近い。つまり、学歴や面接の成績が良くても、必ずしもエースに成長するとは限らないことを示している。
責任プロデューサーのイ・ヒョンジュ氏は「成果への影響力を追跡した結果、入社初期には知識やスキルがある程度の差別化要素にはなるが、6カ月を過ぎるとその影響力はほとんど消え、1年以降は能力(コンピテンシー)だけで成果を予測できるようになる。知識やスキルは入社直後の業務適応には役立つが、長期的な成果を保証するものではない」と指摘する。
ただ、AI能力検査が書類と面接の間に新たな手続きとして定着する中で、「採用のハードルがさらに高くなった」という求職者たちの不満もある。
これについてチーム長のチャン・デソン氏は「企業の採用基準が能力中心に変われば、大学教育もスペック重視から能力重視へ、中・高等教育も入試中心から能力中心へと転換されていく。企業と若者がともに成長できるよう、能力基盤の採用文化を広げていくことに力を注ぎたい」と強調した。
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