
韓国では最近、志願者の性向や職務適性を判断するAI能力検査が一般化し、就職するにはAI面接官の心もつかまなければならない。「偏り」への懸念のなかで、AI能力検査の原理と韓国国内の採用市場におけるAIへの転換の流れを追う。
◇受験者が体験した“冷徹すぎる自己分析”
「受験者の弱点:仕事をよく先延ばしにする、責任感を回避」
記者は最近、人工知能(AI)能力検査を受け、その結果用紙を受け取った。そこには自分では気づかなかった受験者である「私の姿」が記されていた。マスコミ就職試験を突破してから1年も経っていない。自信に満ちていた私でさえも、AIの冷徹な評価には太刀打ちできなかった。
AI能力検査は▽性向把握▽認知・問題解決ゲーム▽映像面接――の全3段階で構成されている。
「自分を知る」から始まる性向把握検査は、全124問にそれぞれ6〜8秒以内に答える必要がある。「自分に不利なことはあまり言わないほうだ」といった鋭い質問もあれば、「何もせずにだらだらするのが好きだ」といった核心を突くような質問もある。考える時間もないまま答えていくうちに、自分でも気づかなかった「自分の姿」に気づくことができる。
認知・問題解決ゲームの領域では、「図形を回転させる」「道を作る」など、9種類のゲームに挑戦する。左側にある図形を最小の回転回数で右側の図形に一致させるといった内容で、2010年前後に小・中学生の間で流行した創造的思考力問題に似ている。
映像面接はカメラに映る自分の姿を見ながら進められる。
質問は「自己紹介」だった。
回答準備時間が30秒、回答時間が90秒、そして1回だけ再び回答する機会が与えられた。1回の検査は約80分かかり、結果の分析は通常2時間以内、遅くとも24時間以内に受け取ることができる。
◇画面移動禁止…“緊張感MAX”の就活現場
「受験中に他の画面に移動しないでください。結果に影響を与える可能性があります」
記事に必要な内容を記録するために他の画面に移動すると、左上にポップアップが表示された。受験者の様子はノートパソコンのウェブカメラによってリアルタイムで録画され、担当者に送信される。これは採用の公正性を確保するためだ。
現代自動車、ポスコ、新世界などの大企業グループはもちろん、KB国民銀行、ウリ銀行といった銀行、ソウル峨山病院、延世医療院などの病院まで、少なくとも1200の企業がAI能力検査を実際の採用過程で活用している。AI映像面接の評価は総合評価には反映されないが、企業側に参考資料として提供される。企業によっては、この3段階の検査に加えてプレゼンテーション選考を設けているところもある。
この日記者が取得した総合点数は100点満点中69点。AI能力検査を受けてみると、強みや弱み、重要な価値観や予測される得点分布など、さまざまな指標を詳しく知ることができ、就職準備に大いに役立つと感じられた。
ちなみに、米国では2024年10月時点でフォーチュン500企業のうち93%がAI採用を導入しているほど、AI採用が主流となっている。ソウル市では、39歳以下のソウル在住の若者を対象に、AI面接体験(性向検査・映像面接・戦略ゲーム)と能力検査プログラムを無料で提供している。
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