
韓国・仁川国際空港の免税店賃料をめぐる争いが、ついに法廷闘争に発展する見通しとなった。仁川地裁が新羅免税店と新世界免税店の賃料をそれぞれ25%、27.2%引き下げるよう強制調停を下したが、運営主体の仁川国際空港公社が異議を申し立てる方針を示したためだ。
両免税店は2025年4~5月、賃料調整を仁川地裁に申請した。賃料は空港利用客数に連動して算出される仕組みだが、近年は入国客が増えても免税売り上げが伸びず、過大な負担となっていた。現在、新世界免税店と新羅免税店の客単価あたり賃料は9020ウォンと8987ウォンだが、調停案が適用されればそれぞれ6500ウォン台、6700ウォン台まで下がる。これを2024年の出国者3531万人に当てはめると、年間で各800億~900億ウォンの賃料削減効果が見込まれる。
しかし同公社は「入札で決まった賃料を引き下げれば公平性に反する」として、第2回以降の調停期日には出廷しなかった。韓国の強制調停制度は一方が不参加でも申請側のみで進められるが、どちらかが2週間以内に異議を申し立てれば効力を失う。公社は来週にも異議を申し立てる見通しで、そうなれば自動的に本案訴訟(賃料減額請求訴訟)が始まる。
訴訟に至った場合、免税店側には三つの選択肢がある。裁判を続け最終判決を待つか、訴訟を取り下げて従来通りの賃料を払うか、あるいは違約金を支払って免税店の営業権を返上する方法だ。違約金は約1900億ウォンに上り、さらに6カ月間は営業を継続する義務がある。
仮に新羅・新世界が撤退すれば、仁川空港の打撃も大きい。韓国国内で仁川空港規模の免税店を運営できるのはロッテ免税店のみとされ、再入札では中国国営の中免集団(CDFG)が参入する可能性が高い。公社が国内企業を外して中国企業に免許を与えたり、低価格で事業権を譲ったりするような結果となれば、世論の反発は必至だ。実際、前回の入札でもCDFGはロッテより高い入札額を提示し、仁川空港進出への強い意欲を示していた。
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