2025 年 9月 15日 (月)
ホームエンターテインメント韓流BTS育ての親が警察出頭…巨額利益と疑惑の内幕

韓流BTS育ての親が警察出頭…巨額利益と疑惑の内幕

9月15日午前、ソウル警察庁金融犯罪捜査隊に出頭するハイブのパン・シヒョク議長(c)news1

韓国のグループ「防弾少年団(BTS)」を世界的アーティストに育て上げた大手芸能事務所「ハイブ(HYBE)」のパン・シヒョク議長が9月15日午前10時、資本市場法違反の容疑者として取り調べを受けるため、ソウル警察庁金融犯罪捜査隊に出頭した。

パン・シヒョク議長は、2019年にハイブが上場される前、投資家やベンチャーキャピタル(VC)など既存の投資家に対して「上場の計画はない」と虚偽の説明をした後、自身の知人が設立した私募ファンド(PEF)にハイブの株式を売却するように仕向けたという容疑をかけられている。ハイブが上場した後、その私募ファンドは保有していた株式を売却し、パン・シヒョク議長は事前に締結された株主間契約に基づいて、その売却益の30%を受け取った。

パン・シヒョク議長は「納得できない」との立場を示している。初期投資家を騙したのではなく、当時の投資家たちが「株式の売却を先に求めてきた」というのがパン議長の主張だ。利益配分についても、投資家側が最初に提示した条件であり、「ハイリスク・ハイリターン」の投資リスクを受け入れた上での決定だったと説明した。

当時の状況を整理してみる。

◇「BTSも軍隊に行かなきゃ」…不安だった初期投資家の持分売却

2017年当時、ハイブ(当時は「ビッグヒット」)の主力アーティストはBTSだった。2013年のデビュー以降、音楽チャートの常連1位を占めるスターとなっていた。米ビルボードや英オフィシャルチャートでもアルバムチャートにランクインし、ワールドスターの地位に上り詰めた。BTSの成功により、ハイブの企業価値も高まった。

その一方で、初期投資家たちの間では悩みが深まっていった。韓国のアイドルが海外で大成功を収めた事例はゼロではなかったが、それがいかに難しいかをよく理解していたからだ。PSY(サイ)の「江南スタイル」のように、一時的なブームで終わってしまうのではないかという不安もあった。

決定的だったのは、BTSの兵役入隊の時期が近づいていたことだった。BTSに代わる他のアーティストがいれば問題はなかったが、ハイブ内には明確な代替案が見当たらなかった。さらに、上場の計画も不透明だった。

初期投資家たちはリスク管理を重視し、保有株の売却を決断した。彼らはパン・シヒョク議長に、株式を買い取る新たな投資家を探してほしいと要請した。

これを受けてパン・シヒョク議長は、スティックインベストメントやイーストンエクイティパートナーズ(イーストンPE)などとつなぎ、既存株主が資金を回収できるように支援した。スティックは2018年10月、LBインベストメントや機関投資家が保有していたハイブの既存株式(12.4%)を1039億ウォンで買収した。

翌年6月、イーストンPEは250億ウォンを投じてチェ・ユジョン副社長が保有する持分の一部(2.7%)を買収した。同年11月にはニューメインエクイティと共同で投資し、アルペンルート資産運用の全持分、チェ副社長の残りの持分、LBインベストメントの優先株など、追加で8.7%を買い取った。

この過程で、初期投資家は少なくない利益を得た。LBインベストメントは元本の約20倍に達する収益を上げたとされる。他の株主だったレジェンドキャピタルも、持分の一部(3.88%)を売却して利益を得た。残りの6.2%の持分は、IPO後に売却された。収益率が最も低かったアルペンルートでさえ、保有株の売却により元本比で50%以上の利益を得た。

◇「リスクよりも確実な利益を」…プットバックオプションを提案した理由

スティックは、初期投資家たちの持分を買収する際に、当時の経済状況や将来の見通し、上場の成功可能性を冷静に計算して決定を下したものの、社内には相当な懸念もあった。初期投資家と同様に、BTSの兵役問題が足かせになると考えられていた。

社内では、不確実な投資よりも確実な利益を望む声が強かった。そこで、パン・シヒョク議長に対し、「上場が成功すれば利益を分け合い、失敗した場合は持分をより高い価格で買い戻してほしい」と要請した。これが、2023年までにビッグヒットが上場しなければ、持分を再び売却できる「プットバックオプション」だった。上場が実現しなければ、買収金額である1039億ウォンに、毎年の内部収益率(IRR)を加えた金額で買い戻すという条件だった。当時のIRRは5~6%台と推定される。代わりに、上場に成功した場合には売却益の30%を分配する「利益分配約定(アーンアウト)」を結んだ。

スティックの関係者は「一般的なダウンサイド・プロテクション(損失回避)とアーンアウト契約だ」と説明する。

イーストンPEもハイブの持分を取得する際に、リスクを最小限に抑えることに重点を置いた。パン・シヒョク議長に対して、スティックと同様のプットバックオプションを求めた。ただ、比較的規模の小さい「イーストン1号PEF」は利益分配約定を結ばず、「イーストン2号PEF」のみが締結した。

もし2023年までにハイブが上場できなければ、パン・シヒョク議長はまさに破産の危機に立たされていた。スティックとイーストンPEの投資金2339億ウォンにIRRを加えた、約3000億ウォンを投入してでも、株式を買い戻さなければならなかった。

それにもかかわらず、パン・シヒョク議長は勝負に出た。BTSのグローバルでの成果が見え始めており、成功は目前にあると判断したのだった。

ソウル市龍山区に所在するハイブ本社(c)news1

◇BTSの成功とハイブの上場…パン・シヒョクの“ハイリターン”

BTSが2019年に発表した「Boy With Luv」と、2020年に公開された「Dynamite」が大ヒットとなった。ビルボードチャートを席巻したのはもちろん、韓国のアーティストとしては初めて、英ウェンブリー・スタジアムで単独コンサートも開催した。

この時期、ハイブもグローバル投資の誘致に失敗し、方向性を上場へと転換した。2020年1月に企業公開(IPO)の主幹事選定のための入札提案要請書(RFP)を発送し、同年10月に証券市場に上場した。

公募価格は1株13万5000ウォンだったが、上場初日に公募価格の2倍で始まり、その後ストップ高まで上がって、大きな話題を呼んだ。2021年11月には42万1500ウォンまで株価が上昇した。2021年3月には社名も「ビッグヒットエンターテインメント」から「ハイブ」へと変更された。

スティックとイーストンPEはその後、保有していた持分を売却して莫大な利益を得た。パン・シヒョク議長も、利益分配金として約4000億ウォンを受け取った。

パン・シヒョク議長は、この4000億ウォンのうち、半分は税金として納め、1550億ウォンは2021年のハイブの有償増資に投資した。残りの約350億ウォンは、米国での事業拠点や作業スペースの確保のために投資したとされている。

(c)news1

RELATED ARTICLES

Most Popular