
韓国のイ・ジェミョン(李在明)政権は人工知能(AI)など先端産業の育成に向けて、国民成長ファンドの規模を従来の100兆ウォンから150兆ウォンへと拡大すると発表した。AIや半導体など未来の戦略産業に大規模な資金を投入し、グローバル競争で主導権を握る狙いだ。
メガ・ニュース(MEGA News)のキム・ミジョン記者の取材によると、イ・ジェミョン大統領は9月10日、ソウルで開かれた「国民成長ファンド国民報告大会」で、ファンドの支援方式を改編し、重点産業プロジェクトに長期的な投資をすると表明した。イ・ジェミョン大統領は「米中が銃声なき戦争を繰り広げている状況で、韓国も危機をチャンスに変えなければならない」と強調した。
この日、AI業界は「投資スピード」と「具体的な目標設定」が最も喫緊の課題であると指摘した。LG U+のクォン・ヨンヒョン専務は「AIには莫大な資金が必要なため、ファンドの規模と執行スピードがカギになる」と述べ、「ネットワーク分離やクラウド規制といった制度的な障壁も同時に取り除くべきだ」と提案した。
AI企業への直接的な支援の必要性も挙げられた。教育系スタートアップ「クラスム」のイ・チェリン代表は「シリーズB以上に成長したスタートアップに対して、母胎ファンドの義務的投資を拡大するべきだ」とし、「海外で創業した企業も投資の死角から脱するために制度改善が必要だ」と述べた。
AIの研究開発(R&D)エコシステムの改善を求める声もあった。ディサークルのイ・ユング共同代表は「これまでのR&D支援は新規課題中心だった」とし、「研究者たちは行政手続きに多くの時間を割いている」と指摘した。そして「国家レベルでのデータ統合プラットフォームが必要だ」と強調した。
こうした提案に対し、政府も対応策を発表した。ク・ユンチョル経済副首相は「AI、ロボット、超伝導体のような核心技術に集中的に投資する」と表明し、キム・ジョングァン(金正官)産業通商資源相は「ファブレスやSaaS(サービス型ソフトウェア)といった業界からの提案はすでにファンド方針に反映されている。こうした提案が実行されるよう支援する」と約束した。
財界からは、ファンドの運営方式やガバナンスの改革を求める声も出た。大韓商工会議所のチェ・テウォン会長は「半導体やAI分野において、運用会社間の競争構造が必要だ」と述べ、「国民成長ファンド第2号を早期に立ち上げ、海外投資にまで拡大すべきだ」と主張した。
(c)KOREA WAVE