2025 年 9月 12日 (金)
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北朝鮮、新たな対外政策構想…「日米韓牽制」と「中露連携」を鮮明に

習近平国家主席と歓談するキム・ジョンウン総書記=労働新聞(c)KOREA WAVE

北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記が9月3日、北京で開かれた抗日戦争勝利80周年閲兵式に習近平国家主席、プーチン露大統領と並んで登壇した。北朝鮮最高指導者が多国間外交の舞台に姿を現したのは1959年の金日成主席以来66年ぶりで、国際秩序再編に向けた朝中露の連携を誇示する狙いが込められていた。

キム総書記は7〜8月にかけて変化した情勢を踏まえ、新たな「対外政策構想」を策定。これをキム・ヨジョン(金与正)党副部長が8月19日、外務省幹部協議を主宰する形で伝達したとされる。その核心は「韓国・米国・日本といった敵対国に外交的に先手を打ち、急変する地政学を北朝鮮に有利に操る」というものだ。

構想の三本柱は▽韓国政府の対話攻勢を「欺瞞的」と断じ、南北を「敵対的二国家関係」と国際社会に刻印させること▽韓国主導の国際的な対北非核化外交に対抗すること▽中露と戦略的連帯を固め、国連などで「共同利益」を守りつつ米国覇権に対抗すること――だ。

こうした文脈で、今回の中国、ロシアの両首脳との会談は新構想の出発点と位置付けられる。特に習主席はこれまで常に強調してきた「朝鮮半島非核化」に触れず、北朝鮮を事実上「核保有国」と容認したかのような発言をした。中国の立場変更は、日米韓の対中圧力強化への牽制としての意味合いが強いと分析される。

キム総書記はまた、中国に対し「党建設や経済発展の経験共有、北朝鮮経済建設への支援」を要請。習主席も「各分野での実質的協力推進」に言及し、経済協力再開への糸口を示した。鴨録江に架かる新鴨緑江大橋や拡張済みの税関施設など、朝中交流再開を支えるインフラは整いつつある。

北朝鮮は今回の成果を、党創建80周年を経て数カ月後に予定される朝鮮労働党第9回大会での国家経済計画発表や地方建設事業の推進に結びつけたい考えだ。

一方で、こうした北朝鮮の外交攻勢は韓国政府にとって大きな負担となる。南北が国際舞台で対立を繰り広げれば、イ・ジェミョン(李在明)政権の対話再開努力は大きく揺さぶられる。

将来的に米朝首脳会談が再開された場合、韓国が「ペースメーカー」役から外される可能性すらある。専門家は、韓国が南北協力の枠を越え、中露を巻き込んだ国際協力の枠組みを再構築する必要があると指摘している。

(c)news1

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