2025 年 11月 24日 (月)
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1000億ウォン級 vs 8万人動員…ソウル2大アートフェアで対照的な成果

9月3日に開幕したフリーズ・ソウル(c)NEWSIS

ソウルで同時期に開催された二つの国際アートフェア「フリーズ・ソウル(FRIEZE SEOUL)」と「キアフ・ソウル(Kiaf SEOUL)」が対照的な成果を残した。

フリーズ・ソウルは米作家マーク・ブラッドフォードの作品が約62億ウォンで売れるなど、超高額取引が相次ぎ、総額1000億ウォン超が動いたとみられる。会場にはオバマ元米大統領の長女マリアさんも姿を見せ、単なる取引にとどまらず「文化的イベント」として消費された。世界的ギャラリーのハウザー&ワースは韓国美術館や画廊と連携し、戦略的な展示を展開。ソウルを現代美術の拠点に位置づける姿勢を鮮明にした。

一方、キアフは海外画廊の参加比率を30%まで引き上げ、独自の国際性を強化。ドイツやイタリア、米国、台湾などから多様な作品が紹介され、観客動員数ではフリーズを上回る8万2000人を集めた。中低価格帯の取引も活発で、国内画廊には実益が大きかったと評価される。ただし、マーケティングの差は歴然で、フリーズがCEO自ら販売実績を強調する一方、キアフは「フリーズの後追い」と映る対応に終始した。

韓国美術市場の構造的問題も浮き彫りになった。税務調査を警戒して価格公表を避ける国内画廊に対し、フリーズは「慣習」として非公開を装いつつ、超高額取引の情報を意図的に流しマーケティングに利用。結果的に「いくらで売れたか」がニュースとなり、再び宣伝へと循環する仕組みをつくっている。

韓国画廊協会のイ・ソンフン会長は「フリーズでは超高額取引が注目されたが、キアフは数十万~数百万ウォン台の売買が多く、国内画廊に実際の助けになった」と評価した。

両フェアの盛況は「美術の消費」が「所有」から「経験」へと変化していることも背景にある。セレブの来場や企業スポンサーの参加が観客を引き寄せ、アジアの新たなアートハブとしてソウルの存在感は高まった。ただし、世界各地で類似フェアが乱立し、MZ世代からは「大型ショッピングモールのようだ」との倦怠感も指摘されている。

フリーズは既にソウルに拠点「フリーズ・ハウス」を開設し長期的な定着を図る一方、キアフは来年以降の共催継続を巡って態度を曖昧にしている。専門家からは「今やフリーズなしではキアフは共存できない」との厳しい声も出ている。

世界美術市場が75兆ウォン規模とされる中、韓国市場(約1兆ウォン)は依然小さい。しかしフリーズ・ソウルが世界カレンダーに確固たる地位を築く一方、キアフがガバナンスや税制・広報の標準化を怠れば、ソウル美術シーンの主導権は海外メガギャラリーに握られるとの危機感が広がっている。

(c)NEWSIS

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