2025 年 9月 6日 (土)
ホーム経済流通“葡萄界のエルメス”シャインマスカットが韓国で暴落…5年で暴落の衝撃

“葡萄界のエルメス”シャインマスカットが韓国で暴落…5年で暴落の衝撃

ソウル市内の大型マート果物コーナーを見て回る買い物客(c)MONEYTODAY

かつて「葡萄界のエルメス」と呼ばれ、中国の富裕層の間でも人気を誇ったシャインマスカットが急速に地位を失っている。価格は数年前の半分以下となり、韓国国内の農家は採算すら難しい状況に直面している。

韓国農水産食品流通公社(aT)の統計によると、2025年9月1日時点でシャインマスカット(Lサイズ・2㎏)の小売価格は2万1049ウォン(約2240円)。前年より12.4%、平年比では41.1%の下落だった。2020年9月には同規格で4万7860ウォン(約5092円)を記録しており、わずか5年で価格は半減した。現在は低価格品種の巨峰とほぼ同水準となっている。

韓国葡萄会慶北支部のキム・ヒス支部長は「1房あたり1000ウォン(約106円)以上のコストがかかるのに、今の純利益は2500ウォン(約266円)程度。2020年頃は7000ウォン(約745円)の利益が出たが、今は生産費もまかなえない」と嘆く。

最大の要因は供給過剰だ。韓国農村経済研究院によれば、ブドウ栽培面積に占めるシャインマスカットの割合は2017年の4%から2020年に22%、2022年には41%まで急拡大した。栽培が容易で保存性も高いため新規参入農家が殺到した結果、市場は飽和した。

品質低下も顕著だ。高値を狙った早期出荷や過大房栽培で糖度不足の実が流通し始めた。農村振興庁のノ・ジョンホ研究員は「本来は1房500~600gが適正だが、800g~1㎏超で育てる例もある。外見は整っていても糖度が上がらず、消費者の評価を下げている」と指摘する。

中国市場での存在感も薄れた。2020年には中国向けブドウ輸出422.6トンのうち9割超を占めたが、2024年には103.3トン、2025年8月末時点では38トンにまで減少した。中国富裕層の関心が他品種や他国産フルーツに移ったことが背景にある。

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