
韓国で9月から、警察庁を中心に年中無休24時間体制の「ボイスフィッシング統合対応団」が稼働する。2026年1月までを「ボイスフィッシング特別取り締まり期間」に指定し、犯罪組織を一網打尽にする。ユン・チャンリョル国務調整室長が8月28日、政府全体としてのボイスフィッシング根絶に向けた総合対策を確定し、発表した。
従来の各機関による事後対応方式から脱却し、先制的な協力体制を整えた。
この対策は「予防中心の関係機関による統合対応を通じたボイスフィッシングの根絶」という政策目標に基づき、▽対応ガバナンスの改編 ▽予防中心の先制対応 ▽賠償責任と処罰の強化――という3大戦略を柱に推進される。
◇ボイスフィッシング統合対応体制の構築と人員拡充
「ボイスフィッシング統合対応団」は、既存センターの43人規模だった常駐人員を137人に大幅に増員し、運営時間も年中無休24時間体制へと移行する。リアルタイムの対応体制とともに専任人員を配置し、犯罪に使用された電話番号は10分以内に緊急遮断される。統合対応団が収集した犯罪情報は専門の捜査組織に即時提供され、犯行の全容を把握し、全国規模の統合捜査が可能となる。
海外に拠点を置き、組織が細分化されているボイスフィッシング犯罪組織は、個別の事件単位では犯行の全貌を把握することが難しく、効率的な捜査も困難だ。これに対し、警察庁は国家捜査本部長を団長とする「ボイスフィッシングTF(タスクフォース)」を運営し、全国規模の専門捜査体制を構築して、組織網全体を追跡・摘発する。具体的には、全国の捜査部門に約400人の専門捜査人員を増員し、特に5つの重点都道府県警察庁にはフィッシング犯罪専従の捜査隊とチームを新設する。
あわせて「ボイスフィッシング特別取り締まり期間」では、全国の警察の捜査力を総動員する。海外のコールセンターの責任者を摘発するため、中国や東南アジアなど主要国との国際協力を強化し、インターポールとの共同作戦も推進する。
政府横断の捜査機関「ボイスフィッシング犯罪政府合同捜査団」を中心に、犯罪組織に対する集中捜査も継続される。合同捜査団はコールセンター組織だけでなく、発信番号を偽装する中継機の運用組織、口座貸しの流通組織など、犯行の各段階に関わる犯罪組織を厳しく取り締まり、発足以降3年間で計829人を立件、335人を拘束した。
◇ボイスフィッシングの処罰強化…通信会社の“ダミー携帯”管理義務も拡大
ボイスフィッシングのように不特定多数の庶民を標的にした大規模詐欺犯罪は、被害総額が同じであっても被害者が多い場合にむしろ加重処罰ができないという、刑法上の法定刑体系の矛盾を抱えている。
法務省はこれを是正するため、刑法上の詐欺罪の法定刑を引き上げるなど、関係法令を整備する。また、ボイスフィッシング犯罪によって得た犯罪収益は必ず没収・追徴できるよう、関連法の改正も推進する。
携帯電話の不正開通に対する通信会社の管理責任も大幅に強化される。
通信会社は、携帯電話の開通に関する異常兆候の基準を設け、代理店や販売店を継続的にモニタリングし、異常が見つかった場合には科学技術情報通信省に通報しなければならない。通信会社の管理義務の怠慢によって不正開通が多数発生した場合、政府は当該通信会社に対して登録取消や営業停止などの強力な制裁を加える。また、故意または重大な過失により不正開通を黙認した代理店や販売店については、通信会社が委託契約を必ず解除するよう義務づける。
韓国政府は通信会社の管理義務と制裁の強化に向けて、電気通信事業法の改正を予定している。
また、ボイスフィッシングの予防に責任を持つ金融機関が、被害金額の一部または全部を賠償できるように法制化し、効果的な犯罪予防の努力を促進し、実質的に被害が救済されるようにする。
イギリスやシンガポールなど、ボイスフィッシング被害において金融機関の無過失責任を認めている海外の事例を参考に、制度改善の方策を具体化し、賠償に必要な事実関係を確認するための捜査機関からの情報提供の根拠も整備する。
◇ ボイスフィッシング予防の高度化
ボイスフィッシング犯罪組織は、訃報を装ったメッセージなど違法スパムを送信し、被害者の携帯電話に悪性アプリのインストールを誘導したうえで、個人情報を盗み取ったり、携帯電話を遠隔操作したりする手法を取っている。これに対応し、メッセージ事業者、通信会社、端末に至るまで、三重の遮断体制が構築される。
これまで、犯罪に使用された電話番号の使用停止には時間がかかっていたが、今後は「ボイスフィッシング統合対応団」への通報をもとに、犯罪利用電話番号を仮に迅速に遮断する「緊急遮断」制度が導入される。これにより、通報や報告を受けた時点から10分以内に、通信網への接続などを優先的に遮断し、24時間以内には正式に利用停止となる。
また、海外の発信番号を国内番号に偽装する私設中継機(SIM Box)の製造・流通・使用が禁止され、今後は犯罪に使用された番号だけでなく、それと連携するすべての電話番号まで遮断される。
金融、通信、捜査などボイスフィッシングに関連する全分野の情報を統合し、AIによるパターン分析などを通じて疑わしい口座を把握し、被害が発生する前にその口座を事前に支払い停止できる、仮称「ボイスフィッシングAIプラットフォーム」も構築される。
端末メーカーや通信会社は、政府が提供するボイスフィッシングデータとAI技術を活用し、詐欺が疑われる通話時に自動で警告を発する機能を導入する。
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