
韓国国内の大手企業で「雇用の硬直化」が深刻化している。景気低迷と業績不振の影響により、新規採用が減少する一方で退職者も減り、組織内の人材循環が鈍化している実態が明らかになった。
調査会社リーダーズインデックスが、2025年にサステナビリティ報告書を提出した韓国の主要152社を分析した結果、2024年の新規採用人数は15万4266人で前年より12%減少。退職者数も6万9354人で8.6%減だった。2年前の2022年と比べると、新規採用は29.9%も減り、退職者も8.7%減少している。2022年には新規採用数が退職者の2.9倍だったが、2024年には2.2倍まで縮小し、人材の出入りがともに鈍化した構図だ。
業種別にみると、IT、バッテリー、サービス、石油化学など不振が続く分野で人員削減傾向が顕著となっている。
IT・電機電子業界では、2022年に比べ新規採用が49.2%減少。LGグループでは主力3社(LG電子、LGディスプレー、LGイノテック)で採用が大きく縮小した。たとえばLG電子の新規採用は2022年の2万65人から2024年には1万3956人と、30.4%減少。退職者数も1万8311人から1万136人へと大幅に減った。
二次電池(バッテリー)業界では、電気自動車の一時的な需要減速の影響で、採用も退職も動きが大きかった。LGエナジーソリューションは、2022年の新規採用が1万2329人だったのに対し、2024年には2411人と80%以上減少。同時に退職者は2594人から5995人に急増している。
サービス分野では、NHNのように新規採用が107人と大幅に減る一方で、退職者数がそれを上回る事例も出ている。一方、芸能プロダクションのHYBEは、採用・退職の増減が交錯しており、2024年はやや採用減、退職増の傾向がみられた。
石油化学業界では、採用の大幅減が目立つ。LG化学の国内新規採用は、2022年の1431人から2024年には178人にまで落ち込み、87.6%の減少。ハンファソリューションやコーロンインダストリーもそれぞれ67.4%、44.1%減少した。
一方で、比較的好調な業種では異なる傾向が見られた。自動車・部品業界では新規採用が2年間で7.1%増加し、2024年には3万9040人に達した。退職者数は2万人前後で推移している。造船・機械・設備業界では、新規採用が2022年から2024年にかけて56.6%増加し、退職者も安定的に推移している。
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