2025 年 8月 21日 (木)
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北朝鮮「統制可能な局地戦」と「全面的な核抑止」同時追求へ…軍事戦略に現代戦の教訓反映か

2025年8月18日、駆逐艦「崔賢(チェ・ヒョン)」を視察する北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記=労働新聞(c)KOREA WAVE

北朝鮮が近年の国際紛争の事例を綿密に分析し、自国の新たな軍事戦略に反映している可能性が高まっている。これにより、朝鮮半島の軍事的緊張が再び高まる兆しを見せている。

韓国の国家安保戦略研究院のキム・ボミ研究員は20日、「最近の国際紛争から見た北朝鮮の現代戦概念進化の展望」と題する報告書を通じて、北朝鮮が国際的な核脅威と現代戦の変化を基に軍事戦略の再編を進めていると主張した。

報告書では、ロシア・ウクライナ戦争、インドとパキスタンの軍事衝突、イスラエル・アメリカによるイラン核施設への攻撃などを例に挙げ、▽核兵器は依然として重要な戦略的抑止力である▽核とは別に、通常兵器の現代化も不可欠▽長期戦よりも短期決戦型の局地戦を志向▽無人機(ドローン)を中心とした非対称戦力の価値が立証された▽アメリカは依然として軍事的調停者として重要な役割を果たしている――という国際的教訓が北朝鮮にも影響を及ぼしていると指摘している。

これを踏まえ、キム・ボミ研究員は「北朝鮮は引き続き核能力を開発し、明確な“核保有国”としての地位確立を国家的課題と見なしている」とし、イランが完全な実戦配備可能な核戦力を持たなかったことを教訓に、制度的に核国家としての地位確立を進める可能性が高いとした。

加えて、これまで核兵器に偏重していた北朝鮮の戦略が、通常戦力とのバランスを図る方向へと変化する可能性もあるとし、ロシアとの協力の下、「現代戦に最適化された軍隊」への再編を目指していると分析した。

特に、アメリカが核戦争への拡大を懸念して即時報復を控える傾向があることを逆手にとり、北朝鮮が韓国に対し通常兵器による攻撃を仕掛け、その後アメリカの介入によって交渉局面へと移行する戦略を構築する可能性があるという。これは、北朝鮮が「統制可能な局地戦」を繰り返す構造的余地を与えることになり、朝鮮半島の不安定性を高める要因となり得ると指摘された。

また、ドローン戦力に関しても注目すべき動きがある。北朝鮮はロシアと協力して「ガルピア」や「ゲラン」シリーズの無人機の生産体制を構築しつつあり、次期国防5カ年計画ではドローン開発が最優先課題に位置づけられる可能性が高いという。

北朝鮮は2023年7月の「武装装備展示会-2023」で、新型偵察用無人機「セビョル-4型」や攻撃用無人機「セビョル-9型」を公開しており、2024年8月にはキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記の視察にあわせて新型の自爆型無人機も公開されている。

キム・ボミ研究員は「北朝鮮軍の近代化は単なる兵器性能の向上ではなく、実戦での主導権確保と戦場統制力強化を目指したキム総書記の“適応型学習”の一環」であると強調。「2026年に開催が予想される朝鮮労働党大会では、核抑止力を超えた戦場統制力と作戦遂行能力を強化する新たな現代戦構想が盛り込まれた国防発展計画が提示される可能性が高い」と展望した。

(c)news1

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