
厚生労働省によると、昨年の段階で日本国内で働く韓国人就業者数は約7万5000人にのぼり、過去20年間で着実に増加している。
韓国よりも先に少子高齢化が進み、若年層の労働力が不足している日本では、深刻な「求人難」に直面している。
これは「就職難」に苦しむ韓国の若者たちにとって、一つの突破口となり得る。
問題は、日本と韓国で計10年間働いたとしても、どちらの国からも国民年金を受け取ることができない点にある。こうした問題を解決するために、日韓両国が社会保障協定を改正する必要があると専門家は指摘している。
韓国外務省によると、韓国政府は現在、計41カ国と社会保障協定を締結している。社会保障協定とは、協定締結国間で異なる年金制度を調整し、両国民に利益を与える条約だ。この条約は大きく分けて「保険料納付の免除」と「年金加入期間の通算」の2つの柱がある。
日韓両国は2004年2月、「保険料納付の免除」に関する協定を締結し、翌2005年4月に発効した。これは、韓国国民が日本で働く際、「日本の年金に別途加入し、二重に保険料を納付する」事態を避けるための協定だった。2000年代初頭は、日韓両国民が互いの国で就業する事例はそれほど多くなく、これだけでも大きな前進とされていた。
◇社会保障協定改正「難しい問題ではない」
その後、日韓の人的交流が大きく増加した。にもかかわらず、両国は年金加入期間を通算する協定を追加で締結していない。
日本も韓国も、それぞれの制度で10年以上保険料を納めれば国民年金を受け取ることができるが、問題はその「通算」ができない点にある。例えば、日韓を行き来して働く労働者が、韓国で9年、日本で9年、計18年働いたとしても、どちらの国からも年金を受け取ることができない。
これに対し、韓国政府は現在、アメリカ、ドイツ、ベトナムなど人的交流が活発な29カ国と、年金加入期間を通算できる協定を締結している。このおかげで、たとえばアメリカやベトナムで9年間、年金保険料を納付した労働者が、韓国で1年間だけ保険料を納めれば、両国から年金を受け取ることができる。支給額は加入期間の比率に応じて両国が分担する。日本もアメリカなどと同様の協定を結んでいる。
関西外国語大学のチャン・ブスン(張富丞)教授は「両国が社会保障協定を拡大・改正し、両国民の人的交流を支える必要がある」と指摘する。
東京大学大学院教授を務めた木宮正史氏も「日韓はすでにアメリカなどとも同様の協定を締結しており、両国の協定改正はそれほど難しい問題ではない」とみる。一方で、木宮氏は「最近の日本では、外国人労働者の流入により日本人の雇用が奪われているといった、事実に基づかない極右的な論理が広がっている。日韓両国による年金加入期間の通算協定は、こうした流れとは明確に区別されるべきだ」と強調した。
(つづく)
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