2025 年 8月 12日 (火)
ホーム社会若者はおらず、いても外国人…韓国の建設現場に安全「赤信号」がともる理由

若者はおらず、いても外国人…韓国の建設現場に安全「赤信号」がともる理由

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韓国の大手建設会社ポスコE&Cの建設現場で重大災害事故が相次ぎ、現場の安全管理実態に対する懸念が強まっている。背景には高齢化、外国人労働者の増加、そして未熟練労働者の依存という構造的な問題がある。

建設勤労者共済会による「2025年4月建設労働者現況」によれば、1日以上勤務した建設労働者は約66万5700人。そのうち50代が34.1%、60代が26.0%、70代以上も3.6%を占め、全体の63.7%が50歳以上という高齢化の現状が明らかになった。

韓国人男性の建設労働者に限った平均年齢は52.8歳で、産業別に見ても建設業の高齢化は顕著である。若者の建設業忌避、過酷な労働環境、低賃金が新規流入を阻んでいる。

こうしたなか、若年層の代替として外国人労働者の比率が上昇。公式統計では全体の17.1%(約11万4000人)に過ぎないが、実際には小規模工事を中心にその割合はさらに高いとされる。彼らの平均年齢は47.1歳で韓国人より若いが、言語障壁や現場理解度の低さが安全教育の浸透を妨げている。

さらに注目すべきは、労働者の60.7%が非技能職(日雇い)である点。1年未満の経験者が44.3%、6年以上の経験者はわずか13.6%と、未熟練労働者への依存が深刻だ。

こうした構造は、設備操作や高所作業、鉄筋の結束など危険性の高い工程で致命的な結果をもたらす。実際、7月28日に発生した死亡事故では、60代の建設労働者が掘削機に巻き込まれて死亡。8月4日に発生した感電事故ではミャンマー出身の外国人労働者が被害に遭った。

一部の大手建設会社では、デジタル技術を活用した安全モニタリングやリスク予測システムを導入しているが、現場の主力が高齢者と外国人、未熟練労働者である現状ではその効果にも限界がある。

専門家は、安全対策の強化と並行して、労働力の構造そのものを再編する必要があると強調する。今のままでは、安全体制を整えても重大災害の再発は避けられないという見方が支配的だ。

建設業界の関係者は「現場では安全装備よりも作業者の熟練度やチームワークの方が重要。基本作業すら慣れていない労働者が危険に気づけず、無防備な状態で作業しているケースが多い」と実情を明かす。また、「コスト削減を名目に、教育や人員の選別を軽視する現場も多い」と指摘した。

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