
韓国の義政府(ウィジョンブ)、蔚山(ウルサン)、大田(テジョン)で、元交際相手や職場の元同僚による関係性犯罪が相次ぎ、女性が死亡または重体となる事件が続発している。いずれの事件もストーキングや暴力、複数回の通報など、明確な前兆が確認されていたにもかかわらず、捜査機関による保護や措置が不十分だったことが問題視されている。
大田市で7月29日、20代の男が30代の同居中の元恋人を刃物で刺して殺害した。加害者は犯行後に逃走したが、約24時間後に逮捕された。過去にも住居侵入や暴力で4回警察に通報されていた。加害者は第三者とのトラブルで警察に現行犯逮捕された前歴もあり、その際にも被害女性に軽い暴力を加えていたが、女性は当時、安全措置や処罰を望まなかったという。
義政府では同26日、福祉施設で勤務中の50代女性が、元職場の同僚である60代の男に刺され死亡した。男は翌日、登山道で遺体となって発見された。犯行前、加害者は被害者宅を訪れて騒ぎを起こしたり、ストーキング行為で3回通報されていた。警察は緊急措置と暫定措置を申請して身柄確保を試みたが、検察は「行為が継続的・反復的でない」として拘束を棄却。結果として被害者は保護されることなく犯行に遭った。
蔚山市北区の病院駐車場で28日、20代女性が30代の元交際相手に襲われ、意識不明の重体となっている。この事件でも、交際中の暴力が2度確認されたものの、被害女性は処罰を望まず、警察からスマートウォッチが支給されていた。その後、加害者は400通ものメッセージと168回の電話を送るストーキング行為を繰り返していたが、書面警告や接近禁止、通信制限、拘置などの措置はいずれも裁判所に却下された。結果、唯一認められた接近禁止の暫定措置も機能せず、スマートウォッチすら効果を発揮しなかった。
専門家は、こうした「関係性犯罪」は犯行の兆候が明白であるため、早期の断絶対応が可能だと指摘している。韓国心理科学センターのチョン・ソンギュ理事は「加害者は被害者を対等な人間ではなく所有物と認識し、過剰な暴力性を示す傾向がある。現在のようなスマートウォッチ配布や接近禁止だけでは十分とは言えない」と述べた。
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