
米国とイスラエルによる「イラン核施設空爆」に衝撃を受けた北朝鮮が、ロシアの支援を受けて防空網や無人機(ドローン)戦力を強化していく可能性が高いとする分析が、韓国のシンクタンク「世宗研究所」から示された。
報告書「イラン空爆を見つめる北朝鮮」によると、北朝鮮はイスラエルが短時間でイランの防空を崩壊させた様子を目の当たりにし、「自国の防空体制の脆弱さを痛感した」と推測される。
報告書ではまた、2024年に発生した「平壌上空の無人機侵入」や「対北朝鮮ビラ散布」事件も、北朝鮮にとって防空への危機感を強める要因になったと指摘している。
最近では、ロシアが北朝鮮に最新防空システム「パーンツィリ-S1」を供与したとみられ、すでに平壌上空に配備されたとの説も一部で出ている。報告書は「今後数年間、北朝鮮はロシアから追加的な防空支援を受ける可能性が極めて高い」と述べた。
あわせて北朝鮮は、外部攻撃に備えた“秘匿性”の高い潜水艦ベースの兵器システムや、各種ドローン能力の向上にも力を注ぐとみられる。
とりわけ、低空で長時間滞空して目標を狙う長距離自爆型ドローンは、既存のミサイル防衛では迎撃が難しく、北朝鮮にとって魅力的な戦力オプションになり得るという。
ただ、ドローンの製造に必要な部品や費用を北朝鮮単独で確保するのは難しい。これについて報告書は「核兵器と異なり、ドローン技術の移転や共有は敏感性が比較的低いため、ロシアとの協力がより現実的」と見ている。
こうした北朝鮮の動きに対して、報告書は韓国政府に対し、情報・監視・偵察能力の強化や空・海からの自主防衛体制の確立を求めた。
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